①「テキストを用いた客観的病理診断過程のモデル化」 診断内容が記載された病理診断報告書をテキストデータとし、テキストマイニング技術および独自のアルゴリズムで作成したプログラムを用いて解析を行い、病理医の思考過程を数値化した新しい客観的病理診断モデル作成を継続して行いました。具体的には、(a)潜在意味解析を用いた類似報告書の検索(b)ベイズの定理を用いた疾患推定や診断確率の提示(c)診断と所見の記述の整合性につき検討致しました。その中でも特に今年度は(c)に焦点をしぼり、診断名と所見内容の齟齬や記号の誤り等のチェックが可能な、実際の診断現場を想定した実用的チェックシステムの開発を試み、現在までのところ比較的高い正解率が得られるまでになりました。 ②「画像(=組織標本)を使った客観的病理診断過程のモデル化」 バーチャルスライドで取り込まれたホールスライド画像(数百MB~数GBのファイル容量)の画像診断システムの開発を行いました。実際には、バーチャルスライド上でアノテーションされた疾患部分から大量の疾患画像データを抽出し、選別された学習データを蓄積します。新規診断対象が与えられたら、そのホールスライド画像ファイルを入力し、細かく分割したものに対して前述の学習データを用いて疾患のパターン認識を行います。画像診断を行う際のパターン認識のアルゴリズムについては、大量の学習データを用いることができる、認識精度の向上のために学習データを追加することが可能、計算速度を高速にすることができる、などの特徴を持つ新しい方法を検討致しました。
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