糖鎖は細胞間相互作用に重要な役割を果たし、細胞が存在する周囲環境を反映していると考えられる。臓器を支える幹細胞、線維芽細胞、血管内皮細胞において、老化に伴う細胞膜上の糖鎖動態を検討した。線維芽細胞では、由来する個体年齢によらず老化に伴い一定の糖タンパク質上の糖鎖構造が一定のプロファイルを取ることがわかった。この踏査構造変化は間葉系幹細胞にも認められることが示された。また血管内皮細胞では、老化に伴い細胞膜上の糖脂質ガングリオシドGM1の発現が亢進し、インスリン抵抗性をもたらすことがわかった。臓器の老化でそれを構成する細胞に機能的な影響を及ぼしていることが示唆された。
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