研究課題
1.胆管上皮細胞のコラーゲンゲル内培養およびマトリゲル上培養を継続して行った.鉄により肝細胞が死滅し,選択的に胆管上皮細胞が採取できることが確認された.EpCAM抗体磁気ビーズにより純度が高い分離が可能であるが,収量の低さと生存率の改善が課題として残っているおり,今後さらに改善していきたい.2.培養肝細胞に鉄を負荷する実験を行ったところ,in vivoと異なり,肝細胞死はまったく誘導されなかった.現在,細胞増殖や鉄関連遺伝子の発現を解析している.鉄による肝細胞死のメカニズムを考える上で重要な手がかりになると考えられる.3.肝細胞では胆管上皮(グリソン鞘)に比べ,ferroportinの発現が低く,hepcidinの発現が高いことを多数のサンプルを用い,確認した.また,二価鉄イオントランスポーターの発現は肝細胞と胆管上皮細胞で差がみられなかった.4.MKK7KOおよびコントロールマウスに種々の量で鉄を投与する実験を行った.個体差が大きく,これは鉄溶液の濃度を変えたり,投与前の絶食を試みたが,解消されなかった.しかし,MKK7KOとコントロールで急性肝傷害の程度および質に関し,明らかな差は認められなかった.また,MKK7KOにおいても鉄投与後のc-Junの活性化はある程度起こることも判明した.5.鉄投与後の肝細胞および胆管上皮細胞における鉄輸送・代謝に関する遺伝子発現の検討を行った.急性の鉄傷害ではferroportinやhepcidinを始めとした遺伝子の発現には大きな差はなかった.現在,DDC食後および鉄投与後1週間後での遺伝子発現の変化を解析している.
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肝胆膵
巻: 70 ページ: 405-416
Am. J. Pathol.
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10.1016/j.ajpath.2014.07.005