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2013 年度 実施状況報告書

新規貧血モデルマウスの解析を通じた脱核・赤芽球分化機構の理解とその制御法の確立

研究課題

研究課題/領域番号 25670188
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関東京大学

研究代表者

岡本 一男  東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00436643)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード赤血球 / 遺伝子改変マウス / 貧血
研究概要

本課題では、カルシウム結合タンパク質CaBP を造血細胞系列で特異的に欠損させた遺伝子改変マウスの解析を通じて、[1] CaBP による脱核及び赤血球分化制御の分子メカニズムを解明し、[2]CaBP 及びその標的分子を介したin vitro 赤血球形成誘導法の開発基盤を確立すること、を目指す。
I. CaBP 遺伝子コンディショナルノックアウト(CKO)マウスの作製: CaBP 遺伝子のエクソン領域がloxP で挟まれたCaBP floxed マウスを、Vav-iCre TGマウスと交配させ、造血細胞系列特異的CaBP欠損マウスを作製した。さらにCre-ER TG マウスならびにMX1-Creマウスと交配させ、成体で任意の時期に遺伝子欠損を誘導できる時期特異的CKO マウスを作製した。
II. CaBP 遺伝子CKO マウスにおける赤血球解析: 造血細胞系列特異的CaBP欠損マウスは生後1日以内に死亡することが認められたため、P0齢マウスの血液並びに胎児肝を用いて、1) 血液一般検査、2) 塗抹標本を用いた細胞診、3) Flowcytometer を用いた各種血液細胞マーカー の発現解析、4) SYTO-16 色素を用いた脱核誘導率の評価、を実施し、赤血球分化異常を検討した。
III 前赤芽球を用いたin vitro 赤血球分化培養系による検討: E12.5-14.5の胎児肝由来の赤芽球前駆細胞を用いたin vitro 分化培養系を用いて、CaBP が関与する赤血球分化ステージを詳細に特定した。
IV 脱核・赤血球分化に必須のCaBP 機能ドメインの特定: マウス赤白血病細胞株に、野生型CaBP 遺伝子retoviral vector により過剰発現させ、赤血球分化に対する効果を検討した。さらにCRSIPR/Cas9システムによりCaBP欠損細胞株の作製も進めた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の計画では、赤芽球特異的CaBP欠損マウスやマクロファージ特異的CaBP欠損マウスの作製も計画に入れていたが、造血細胞系列特異的CaBP欠損マウスの解析が計画以上に進展させることができ、CaBPが赤芽球分化ステージに特異的に関与していることを実証することができた。そのため、上記のCreマウスとの交配の計画を止め、造血細胞系列特異的CaBP欠損マウスおよび時期特異的CKO マウスの解析に集中することにした。さらに、マウス赤白血病細胞株を用いたin vitro分化培養系も順調に進めることができ、近年話題となっているCRISPR/Cas9システムも導入することで、CaBP欠損異細胞株の樹立にも成功している。これらの研究材料は今後さらに解析を効率化させることが期待できる。

今後の研究の推進方策

造血細胞系列特異的CaBP欠損マウスの胎児肝から単離した赤芽球、およびCaBP欠損赤白血病細胞株を用いた網羅的トランスクリプトーム/プロテオーム解析を実施し、CaBP 遺伝子欠損によって生じる赤芽球内の細胞内因子の発現変動を明らかにする。 また赤芽球内でCaBP に結合するタンパク質を同定し、CaBPの機能に関与する結合分子を特定するとともに、CaBP-CaBP 結合因子複合体によって誘導される細胞内因子の発現動態を理解する。最終的に、CaBP 標的分子および結合分子を赤白血病細胞株に遺伝子導入し、赤血球分化誘導に対する効果を検討し、その発現や機能活性を制御できるようなアプローチを検討する。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Pathogenic conversion of Foxp3+ T cells into TH17 cells in autoimmune arthritis.2014

    • 著者名/発表者名
      Komatsu N, Okamoto K, Sawa S, Nakashima T, Oh-hora M, Kodama T, Tanaka S, Bluestone JA, Takayanagi H.
    • 雑誌名

      Nature Medicine

      巻: 20 ページ: 62-68

    • DOI

      doi:10.1038/nm.3432

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Critical Role of p38 and GATA3 in Natural Helper Cell Function2013

    • 著者名/発表者名
      Furusawa, JI., Moro, K., Motomura, Y., Okamoto, K., Zhu, J, Takayanagi, H., Kubo, M., Koyasu, S
    • 雑誌名

      Journal of Immunology

      巻: 191 ページ: 1818-1826

    • DOI

      doi:10.4049/jimmunol.1300379

    • 査読あり
  • [学会発表] T細胞が発現するRANKLは実験的自己免疫性脳脊髄炎の病態形成に重要である

    • 著者名/発表者名
      Matteo Guerrini、岡本一男、中島友紀、高柳広
    • 学会等名
      第34回日本炎症・再生医学会
    • 発表場所
      京都
  • [学会発表] RANKL expressed by T lymphocyte is needed for development of experimental autoimmune encephalomyelitis

    • 著者名/発表者名
      Matteo Guerrini、岡本一男、中島友紀、高柳広
    • 学会等名
      第42会日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      千葉
  • [学会発表] 骨免疫学的視点からみたTh17細胞の機能

    • 著者名/発表者名
      岡本一男
    • 学会等名
      日本小児リウマチ学会
    • 発表場所
      埼玉
    • 招待講演
  • [学会発表] 自己免疫疾患の病態形成とTh17 細胞

    • 著者名/発表者名
      岡本一男
    • 学会等名
      平成26年度 東京大学大学院医学系研究科病因・病理学専攻分野 博士課程説明会および若手講演会
    • 発表場所
      東京
  • [図書] HORMONE FRONTIER IN GYNECOLOGY 骨の研究最前線 『骨免疫学』2013

    • 著者名/発表者名
      岡本一男、高柳広
    • 総ページ数
      8
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] THE BONE 『骨代謝調節の新たな展開』2013

    • 著者名/発表者名
      岡本一男、高柳広
    • 総ページ数
      7
    • 出版者
      メディカルレビュー社

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公開日: 2015-05-28  

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