研究課題
1.Cas9技術により、新たにアポAIIノックインウサギの作製を試み、4羽のノックインFounderが確立された。現在では、人工授精による繁殖を行い、脂質代謝および動脈硬化の実験に必要な数を増やしている。2.アポEノックアウト(KO)ウサギ(ホモとヘテロ)の血漿脂質(総コレステロール、中性脂肪、HDL-C)やリポ蛋白分画、アポ蛋白の変化を正常野生ウサギと比較した。KOウサギ(特にホモKO)の血漿総コレステロール値と中性脂肪値は正常ウサギより著明に増加していることが認められた。超遠心法並びにHPLC法により、リポ蛋白プロフィルを検討したところ、アポE・KOウサギには著しく血中レムナントリポ蛋白が上昇しており、またレムナントリポ蛋白にはアポB48が多く含まれることが特徴的である。従って、アポEの欠損がレムナントの蓄積に寄与していることが判明した。高コレステロール食を与えた後の血漿脂質の変化を検討したところ、アポE・KOウサギは正常ウサギと比べ、著しく高脂血症を呈しており、コレステロール代謝においてのアポEの役割を示された。12週間のコレステロール食負荷での大動脈硬化病変面積は、KOウサギ群が正常ウサギより大きかった。これらの結果は、平成27年度の日本動脈硬化学会および2016年のAtherosclerosis誌にて発表している。現在はアポE・KOウサギの繁殖を行い、詳細な分子メカニズムの解析を予定している。3.CETP・KOウサギのフェノタイプ解析を行った。通常食事下では、雄CETP・KOウサギの血漿脂質(総コレステロールとHDL-C)は正常雄ウサギと比べて差が認められなかったが、雌CETP・KOウサギの血漿総コレステロール並びにHDL-C値が正常ウサギより1.4~2倍増加していた。更にCETP・KOウサギは高コレステロール食に対して、高脂血症の形成を抑制させ、大動脈硬化の形成も減少させた。これらの研究成果は2015年の米国ATVB学会で発表している。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (8件) (うち国際共著 8件、 査読あり 8件、 オープンアクセス 8件、 謝辞記載あり 4件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (1件)
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