研究課題
外因性及び内因性の微細粒子/蛋白凝集体は、マクロファージ等からの炎症性サイトカインIL-1βの産生を誘導し様々な炎症性疾患を引き起こす。平成25年度はラテックスビーズを用いてマウス脳マイクログリア(MG)における、ビーズサイズ依存的なIL-1β産生経路の存在を示した。26年度は、MGを用いて、アルツハイマー病の原因物質であり異なるサイズ/形状を持つ凝集体を形成するアミロイドβ (Aβ)のIL-1β産生誘導について検討した。始めにAβ(1-42)ペプチドをRPMI培地又は100 mM HClに溶解し、それぞれoligomerおよびfibril凝集体を作製した。これら凝集体の形状/サイズを電気泳動及び原子間力顕微鏡で確認した。Fibril凝集体には若干のoligomerの混在を認め、これを遠心洗浄することで除いた。次にこれらの凝集体をリポ多糖と共MGに加え、IL-1βの産生を検討したところ、oligomerにのみ産生誘導能が見られた。この際、oligomerおよびfibril凝集体ともにMGに取り込まれることを免疫染色にて確認した。次に、Aβを取り込んだ食胞の不安定化に起因するcathepsin Bの細胞質への漏出を検討した結果、oligomerのみに同現象が確認された。さらに、cathepsin B阻害剤CA-076-Meを加えたところMGからのIL-1β産生が低下した。さらに、cathepsin Bと並んでIL-1β産生に働くとされるreactive oxygen species (ROS)の阻害剤N-acetyl cysteine(NAC)を用いたところ、IL-1βの産生が低下した。以上の結果から、アルツハイマー病の原因物質であるAβ凝集体の中で,oligomerがMGからのIL-1β産生をcathepsin BおよびROS依存的に誘導する事が明らかとなった。
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