研究概要 |
平成25年度は、Ekerラットの胎児線維芽細胞からのiPS細胞樹立を行なった。Ekerラットの胎児を、胎生12.5日で摘出し、線維芽細胞を初代培養した。各々に対し遺伝子型をRT-PCR法を用いて解析し、Tsc2+/+,Tsc2+/-,Tsc2-/-全ての遺伝子型の胎児線維芽細胞を用いて、iPS細胞の樹立を試みた。 Takahashiらの方法(Takahashi K.et al.Cell.2007)に準じて、レトロウイルスベクターを用いて、山中4因子(OCT3/4,SOX2,Klf4,c-MYC)をEkerラットの線維芽細胞に導入した。2i法を用いてこれらを培養し、iPS様のコロニーの出現を観察し得た。このコロニーを単離培養し、継代を行なった。Tsc2+/+に比べ、Tsc2-/-の方がコロニーの出現速度が速く、増殖も早い傾向にあった。 多能性を証明する為、アルカリフォスファターゼ染色を行ない、陽性であることが確認できた。さらにRT―PCR法にて、iPS細胞の未分化マーカー(OCT3/4, Nanog, SOX2,Klf-4)の発現を確認したところ、Nanogだけが陰性であり、多能性が不十分であると考えられた。さらに、分化能を確認するため胚葉体形成実験を行なったところ、胚様体は形成されるが、RT-PCR法において、分化マーカーのNestin, Sox17は陽性であるものの、Flk1は陰性であり、分化能についても不十分であると考えられた。
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