研究課題/領域番号 |
25670203
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
金子 修 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (50325370)
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研究分担者 |
川合 覚 獨協医科大学, 医学部, 准教授 (70275733)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 原虫 / マラリア / 人獣共通感染症 / 遺伝子導入 / 進化 |
研究概要 |
近年、東南アジアのサルに感染しているマラリア原虫Plasmodium knowlesi (Pk)がヒトに感染することが報告されているが、地域により血中感染率や症状が異なる。通常低い感染率を示すP. knowlesiが、ボルネオでは高い感染率でヒトに感染し、死亡する例も出ている。そのため、P. knowlesiのヒトへの感染性や強毒化する分子基盤を明らかにすることは重要な課題である。本研究では、ヒトの赤血球では長期培養ができないが、サルの赤血球では長期培養できるPk株に突然変異率を増加させる分子を遺伝子導入し、適応進化を加速することでヒト赤血球で効率よく発育できる原虫株を確立し、全ゲノム解析により責任遺伝子を同定する事を試みることを目的とした。 平成25年度は、オランダのBiomedical Primate Research CentreのKocken博士からサルの赤血球でのin vitro培養系に適応したサルマラリア原虫Pkを入手し、アカゲザルとニホンザルの赤血球を使用した培養を開始したが、原虫がうまく増殖しなかった。そのため、研究分担者の川合よりニホンザルに適応したPk原虫株を入手し、アカゲザルとニホンザルの赤血球を用いて培養を行った。その結果、1カ月は培養できるようになったが、1カ月を超えると原虫が増殖しなくなる傾向があり、培養条件の再検討を行った。一方、超加速変異型原虫作製用の遺伝子導入プラスミドの作製は順調に行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
オランダでは培養ができている原虫株が、当教室では増殖せず、その原因として、培養に用いている献血由来のヒト血清のロット間のばらつきが考えられた。培養の条件検討をする必要が出たため、遺伝子導入まで進んでいない。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、サル赤血球による培養の確立条件を確定し、作製したプラスミドを遺伝子導入し、組換えP. knowlesiを得る。培養中にヒト赤血球を徐々に加えて培養を継続し、ヒト赤血球に適応しin vitro培養ができるP. knowlesiの作製を行う。ヒト赤血球適応株ができれば、全ゲノム解析と全ゲノム転写解析より、複数の株間で変異や転写量の変化が共通して見られる遺伝子座を検出してリスト化する。その後、遺伝子導入により責任遺伝子座の同定をできる所まで行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
計画が遅れ、遺伝子導入を次年度に行うことになったため。 平成25年度に予定していた遺伝子導入を行うための消耗品に使用する。
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