研究課題
『腸管粘膜~門脈~肝臓』は生体防御の最前線であり、門脈系に寄生する住血吸虫による病態形成の場でもある。近年、腸間膜脂肪関連リンパ組織(FALC: fat-associated lymphoid cluster) にNatural Helper 細胞(NH 細胞)が見出され、驚異的なTh2 サイトカイン産生能を有することが判明したものの(Moro K, Nature 2010)、住血吸虫感染におけるNH 細胞の役割はおろか、腸や肝臓などへの集積、臓器内局在、機能なども依然として不明である。本研究ではPET/SPECTならびに多光子顕微鏡を用いて住血吸虫症の病態形成過程を視覚的に提示し、肝臓および腸管での病態形成に果たすNH細胞の役割を解明することを目的とした。定常状態における肝内NH細胞の絶対数には近郊系マウス間で有意な違いが認められた。マンソン住血吸虫の虫卵(2000ヶ)投与後、BALB/c、C57BL/6 両近交系マウスにおいて、NH 細胞の肝臓内集積が認められ、投与3日後に NH細胞の数がピークを示した。住血吸虫卵と同程度の直径を有するガラスビーズの投与ではこのような変化は認められなかったことから、この NH 細胞の集積には住血吸虫卵の有する生物活性が重要であることが示唆された。PET-SPECT を用いた観察では、ピーク時に肝臓全体のシグナル増強が認められたものの、各住血吸虫虫卵周囲の肉芽形成過程を描写するには、解像度を含めて改善すべき点も多く、今後の課題が明らかとなった。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件)
PLoS One
巻: 9 ページ: e96042
10.1371/journal.pone.0096042