寄生原虫トリパノソーマを含むキネトプラスチダ類は、解糖系10酵素のうちの初段7酵素を含む特殊化ペルオキシソーム、グリコソームを持ち、これは病原性の発現に必須である。本研究によって、グリコソームが捕食性の自由生活生物ディプロネマ類とキネトプラスチダ類の共通祖先で成立し、その後キネトプラスチダ類では宿主体内に豊富なグルコースを好適炭素源とする代謝基盤を、ディプロネマ類では被補食生物の主要炭素源であるアミノ酸を中心とするユニークな糖代謝基盤を確立したことが明らかとなった。すなわち、解糖系のペルオキシソーム移行は寄生適応のみならず、補食という生活様式においても有利に働いたことを示している。
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