研究課題/領域番号 |
25670207
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
中根 明夫 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30164239)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 感染症 / 霊長類 / 毒素 / 細菌 / 嘔吐 |
研究実績の概要 |
コモンマーモセットに黄色ブドウ球菌エンテロトキシンファミリー分子を経口投与し、嘔吐誘導活性を検討したところ、供試したSEA, SEC, SEI, SEYで嘔吐誘導活性が認められ、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンファミリーの霊長類でも嘔吐誘導活性の測定系として確立できた。サルやスンクスで嘔吐誘導活性が認められなかった黄色ブドウ球菌エンテロトキシンファミリー分子の一つであるTSST-1はコモンマーモセットでも嘔吐誘導活性が認められなかった。一方、黄色ブドウ球菌エンテロトキシンファミリー分子の類似タンパク質であるSSLはスーパー抗原活性及び嘔吐誘導活性を示さないとされていたが、コモンマーモセットにSSL5やSSL7を経口投与すると、嘔吐誘導活性が認められ、明確な再現性が得られた。この結果から、SSLファミリー分子の新機能が明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度問題となったコモンマーモセットの安定供給と実験手技を確立した。 また、スンクスとコモンマーモセット間の黄色ブドウ球菌エンテロトキシンファミリ-の嘔吐誘導活性の相関性を得ることができた。一方、SSLファミリーの新機能についても確証を得ることが出来た。
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今後の研究の推進方策 |
黄色ブドウ球菌エンテロトキシンファミリー分子の嘔吐誘導活性の測定動物としてコモンマーモセットが有用であることが確認された。一方、スンクスでは嘔吐誘導活性を示さないSSLファミリーがコモンマーモセットで嘔吐誘導活性を示した事実は、コモンマーモセットとスンクスでは、これらの分子による嘔吐誘導メカニズムが異なる可能性を示唆している。今年度は、コモンマーモセットにおける嘔吐誘導活性について、肥満細胞や神経細胞におけるセロトニン分泌や迷走神経系のシグナル伝達機構に着目して研究を進める計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コモンマーモセットの購入費に使用する予定であったが、コモンマーモセットの繁殖が順調であったために、研究費の有効利用のために次年度の予算に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
今期が最終年度ため、終了後もコモンマーモセットの細菌感染症モデルの長期利用のために、コモンマーモセット購入費として予定している。
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