研究課題
本研究では、腸管免疫系の外部抗原取り込み門戸として重要である、腸管リンパ組織のパイエル板 (Peyer's patches, PPs) や孤立リンパ小節などの、消化管関連リンパ組織 (Gut-associated lymphoid tissue, GALT) をターゲットとするアジュバント活性物質を探索することを目的とした。具体的には、PP透過型細菌である球状体ヘリコバクターピロリ (Helicobacter pylori, ピロリ菌) と、非透過型細菌であるらせん型ピロリ菌との比較から、PP透過に必須の分子群を同定して、その分子構造を解析することで、PP透過機構をターゲットとするモジュール分子を設計する。平成26年度は、昨年度に同定したターゲティング候補分子群のうち、バイオインフォマティック解析によって、複数の菌株に共通して存在するものや、ホモログ分子を多数持つものを、重要性が高い候補因子Xとして抽出選定した。選定した分子を欠失する変異ピロリ菌を作製し、菌体の運動能、増殖能、上皮細胞付着能、IV型分泌装置活性能などの菌体性状を精査した。その結果、候補因子Xは、これらの性状には影響を及ぼさないことが明らかになった。また、マウスを用いた動物モデルでの腸管ループアッセイを行った結果、当該欠失変異ピロリ菌では、パイエル板内部への菌体透過効率が低下する結果を得た。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件、 オープンアクセス 1件)
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