研究課題/領域番号 |
25670212
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
堀口 安彦 大阪大学, 微生物病研究所, 教授 (00183939)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 百日咳菌 / 気管支敗血症菌 / 動物モデル |
研究概要 |
本研究の目的は、実験動物に感染する百日咳菌を作出することである。気管支敗血症菌のゲノムにはその広範な宿主域を成立させる因子が含まれると考えられる。そこで、気管支敗血症菌の様々なゲノム断片を百日咳菌に導入し、あるゲノム断片によってラットに感染可能になった百日咳菌に着目することにより、宿主域を決定する因子を同定することが可能になると考えた。平成25年度は、長鎖のゲノム断片の導入を可能とする百日咳菌人工染色体ベクター(BpBAC)の作出を試みた。人工染色体ベクターは低コピーであり、安定に維持されることが重要である。百日咳菌BP136株より分離されたpBP136プラスミドは、低コピーでありながら、50世代以上に渡って安定維持される。我々は、その遺伝子群の中から低コピーに関わる領域とプラスミドの安定維持に関わる領域を予測した。pBP136に遺伝子改変を施し、それらの低コピー領域と安定維持領域のみを残したベクターであるpMIN136を開発した。さらに、百日咳菌へ効率良くプラスミド導入を行うために、ヘルパープラスミドによる接合伝達を可能としたpMIN136Tの開発を行った。pMIN136およびpMIN136Tの百日咳菌体内における一世代あたりのプラスミド保持率は約99%であった。以上のことから、pMIN136系ベクターは、百日咳菌における人工染色体ベクターの候補になりうることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ボルデテラ属菌における人工染色体ベクターであるpMIN136系ベクターの開発は、当初計画の重要課題を達成しているといえる。また、pMIN136系ベクターはボルデテラ属菌における発現ベクターとしての有用性も明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
pMIN136系ベクターを用いて、長鎖のゲノム断片の導入を試みる。さらに、様々なゲノム断片を含むベクターを用いて百日咳菌を形質転換し、ラットへの感染を行う。このスクリーニングは、いわゆるポジティブスクリーニングであり、感染可能に形質転換した百日咳菌だけがラットから回収させるため、目的のゲノム断片を得やすい方法であると考えている。
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