研究課題
挑戦的萌芽研究
Notch/IL-7RシグナルのT細胞の胸腺で分化における役割を明らかにするために、胎生期胸腺のCD4-CD8-double negative (DN)細胞をNotch-1 リガンドであるDLL4(delta-like 4)を発現するストロマ細胞株(TSt4―DLL4)を用いてin vitro 培養系で解析した.その結果,DN2から分化したγδ型T細胞はIFN-γ とIL-17A産生型にともに分化できるが,DN3から分化できるのはIFN-γ産生型だけであった.さらにBCL11bKOマウスでのDN2aまでしか分化できない胸腺のγδ型T細胞はIFN-γ産生型であり,IL-17A産生型には分化できないことがわかった.IFN-γ産生型にはDN2aから直接分化するγδ型T細胞とDN3から分化するγδ型T細胞の2種類が存在し、IL-17A産生γδ型T細胞はDN2bのステージからBCL11b依存性に直接分化するということがわかった.次にCD30L/CD30遺伝子欠損マウスを用いて、IL-17産生γδT細胞の末梢組織での維持機構、さらに感染防御機構におけるCD30L/CD30シグナルの役割について検討を行った。CD30LKOマウスでは感染後早期 の腹腔内での菌排除能が有意に低下していたCD30L欠損マウスでは、感染早期の腹腔内のIL-17の低下が見られ、IL-17産生Vγ1-Vγ6-γδ型T細胞が有意に減少していた。抗CD30アゴニスト抗体投与によりCD30L欠損マウスの感染早期で低下していた菌排除能が回復した。一方で、野生型マウスに可溶性CD30-免疫グロブリン融合蛋白(CD30-Ig)を投与してCD30L/CD30シグナルを阻害すると感染早期の菌排除能が低下した。以上よりV γ6γδ型T細胞の末梢の維持と活性化にCD30L/CD30シグナルが重要であることがわかった。
2: おおむね順調に進展している
平成25年度の目標であるT細胞の胸腺で分化する過程でのNotchシグナルとIL-7Rシグナルの分子機構とを明らかにすることについて、γδ型T細胞の分化機構についての役割については計画通り達成できた。さらに平成26年度の研究目的であるin vivoでのCD30L/CD30の急性感染症モデルと慢性感染症モデルでのγδ型T細胞の役割を明らかにができたので当初の計画とおりに進展していると判断した。
本研究により,IL-17A産生γδ型T細胞はDN2bのステージからBCL11b依存性に直接分化することがわかった.一方,IFN-γ産生型γδT細胞にはDN2aから直接分化するγδ型T細胞とDN3から分化するγδ型T細胞の2種類が存在することになる.今後,これらのγδ型T細胞の末梢での機能について検討する予定である。またCD30/CD30Lを介したシグナルは、自然免疫IL-17産生γδ型T細胞、とくにVγ6+T細胞の末梢組織での維持と細菌感染早期に自然免疫反応の一部として働くIL-17産生γδ型T細胞の活性化に重要な働きをすることが明らかとなった。今後、CD30/CD30シグナルがなぜVγ6+T細胞に選択的に働くのか,またIL-17産生γδ型T細胞の胸腺分化に必要なNOTCH/HES/IL-7RとCD30L/CD30シグナルの関与について検討する予定である。
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