真核細胞の染色体を構成するヒストンは、翻訳後修飾により遺伝子発現を調節する。さらに塩基配列の変異に依存しない形質遺伝、すなわちエピジェネティクス制御を担う。一方、細菌のゲノムを構成するヒストン様蛋白質の翻訳後修飾は極めて希である。しかしながら本研究者は、ヒトの主要な病原体である結核菌のヒストン様蛋白質に複数の翻訳後修飾が生じることを見いだしている。本研究は、結核菌におけるヒストン様蛋白質の翻訳後修飾が、遺伝子発現の調節を介した、菌の生存や病原性の発現、さらにエピジェネティクスに関与するかを明かにすることを目的として、翻訳後修飾に関わる酵素の性状検討と同定を実施した。
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