研究課題/領域番号 |
25670216
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
野田 岳志 東京大学, 医科学研究所, 准教授 (00422410)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | インフルエンザ |
研究概要 |
インフルエンザの最大の特徴は、「効率の良い飛沫伝播」である。ヒトインフルエンザ研究においては4種類の動物モデルが確立されているが、飛沫伝播をサポートし、かつ、臨床症状を示す小型動物モデルは存在しない。そこで本研究では、ハムスターを用いて、小型の飛沫伝播動物モデルの確立を目指す。本モデルが確立されたら、特殊な大型施設を用いることなく、BSL3施設においても容易に飛沫伝播実験を行うことが可能になるため、ウイルスの性状解析だけでなく、新たなワクチンや抗ウイルス薬の開発およびそれらの評価法の進展に大きく寄与できる。 これまでに、複数のA型およびB型ウイルス株を用いて、ハムスター個体間における直接あるいは飛沫伝播実験を行った。A型ウイルスは、実験室株および臨床分離株ならびに2009年にパンデミックを起こしたH1N1株を使用した。B型ウイルスは、臨床分離株を用いた。これらのウイルス株を用いて、1つの群はウイルス接種群、もう1つの群はウイルス非接種群とした。これらを1つのケージ内で飼育し、接触を介した直接伝播が起こるかどうかを確認した。また、飛沫伝播実験用のケージ(2つのケージ間にスペースを設けた特殊ケージ)を作製し、飛沫伝播が起こるかどうか、起こるのであれば、各ケージでの適切な飼育匹数あるいは2つのケージ間の距離を検討した。これまでに、いくつかのA型ウイルス株において、接触を介した直接伝播だけでなく、ハムスターからハムスターへと飛沫伝播を起こすことを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、飛沫伝播実験に用いるためのケージ条件(ケージサイズ、ケージ間の距離、飼育匹数等)を決定した。また、いくつかのウイルス株がハムスターにおいて飛沫伝播を起こすことを明らかにした。一方で、飛沫伝播を示さない株も存在した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、どのようなウイルス因子がハムスターにおける飛沫伝播能を担うのかを明らかにするため、リバースジェネティクスを用いて、種々の変異ウイルスを作出する。
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次年度の研究費の使用計画 |
これまでにいくつかのウイルス株でハムスターにおける飛沫伝播が認められたため、一時、ハムスター感染実験を中断し、分子生物学的実験により変異ウイルスの作製をメインで行ってきた。そのため、ハムスター購入のための金額が予定よりも少なかったため、次年度使用額が生じた。 今年度は、引き続き種々の変異ウイルスをリバースジェネティクスにより作製し、ハムスターを用いた飛沫伝播実験を実施する。
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