研究課題
挑戦的萌芽研究
1)イムノクロマトを原理とする高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)のヒト適応変異診断デバイス(プロトタイプ)の開発に成功先ず、遺伝子解析のみでは感知できない、H5N1の鳥→ヒト宿主域の変異(変異のフェノタイプ:すなわち、新型インフルエンザの発生に伴うレセプター認識特異性変異)を高感度且つ簡便にサーベイする材料を構築した。次に被検ウイルスが、ヒト適応変異H5N1か鳥H5N1かを高速(15分以内)、安価(結果は簡便に検出可能な小型軽量デバイス(5グラム以下)のプロトタイプの作成に成功した。本デバイスによる結果は目視により判別できるため、高価な分析機器を必要としない。よって開発途上国でも使用可であり、世界規模で使用可能な実用的デバイスの作成に成功した。2)プロトタイプデバイスによる野外分離高病原性鳥インフルエンザウイルス (H5N1) への適応可能性の実証本デバイスおよびエジプトのニワトリから分離された高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)およびそのヒト型レセプター結合性獲得変異株を用いて、両者の識別能力、実用性を調べた(BSL3施設を持つ阪大微研およびエジプトアレキサンドリア大との共同研究)。その結果、鳥インフルエンザウイルスおよびそのヒト適応変異株を実際に明確に識別出来ることを実証した。
1: 当初の計画以上に進展している
当初の計画では、平成25年度、26年度前半で、A)ヒト型レセプター適応変異診断プロトタイプデバイスの構築を行い、平成26年度で、B) 試作デバイスの実用性評価 (阪大・微研、エジプトアレキサンドリア大(阪大経由)、インドネシアアイルランガ大などと連携)、および、C)本診断・監視技術の評価を国際規模で行う基本システムの構築 (感染症研究国際ネットワークと連携)を行うこととしていた。しかし、平成25年度までに、B)の項目の一部(阪大、エジプトアレキサンドリア大(阪大経由)との連携で、試作デバイスの実用性評価を達成し、高い実用性を見いだすことに成功したため、計画以上の進捗が達成できたと思われる。また、デバイスは、当初の計画通り、軽量(5グラム以下)、最大長さ15 cm以下であり、鳥インフルエンザH5N1ウイルス(赤血球凝集力価として16HAU以下の感度を目指す。)を含む被検液を50ul以下滴下することにより15分以内に特異的にヒト型受容体結合変異が高感度、安価に検出可能であり、グローバルな実用化が期待できるものである。
本監視技術の評価を国内で行うシステムが構築出来たので、次年度(最終年度)では、実際に高病原性鳥インフルエンザ (H5N1)が発生し、ヒトへの伝播が起こっている国(インドネシア、ベトナム、可能であれば中国など)の国際的な高病原性鳥インフルエンザウイルス研究拠点と連携し、共同研究体制を構築する。これにより、先ず、アジア地域における、高病原性鳥インフルエンザウイルスのヒトへの適応性変異監視体制の基盤を構築していく。
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