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2013 年度 実施状況報告書

ウイルス受容体同定法の新展開

研究課題

研究課題/領域番号 25670222
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関国立感染症研究所

研究代表者

下島 昌幸  国立感染症研究所, ウイルス第一部, 室長 (10422411)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワードウイルス / 受容体の同定 / ベクター
研究概要

新たな展開のために必要となるウイルスの条件は、レトロウイルスベクターのように感染細胞に傷害を与えずにレポーター遺伝子を長期にわたり発現させることが出来ることである。
日本脳炎ウイルスがこの条件に当てはまると考えられたため、受容体同定のための遺伝子操作を行った。ゲノム複製には不要である構造蛋白質(C-prM-E)の遺伝子の大半を除き、代わりにレポーターとして黄色蛍光蛋白質Venusの遺伝子を挿入したウイルスゲノムcDNAをSP6プロモーター下に挿入したプラスミドを作製した。RNAをin vitro合成し細胞に導入したが、レポーターの発現を確認できなかった。
2013年に日本国内にもウイルスが存在することが判明した重症熱性血小板減少症候群ウイルス(SFTSウイルス)もこの条件に当てはまるものであったため、遺伝子操作を開始した。3分節のうちのM分節を用い、本来のコード遺伝子GP部分に緑色蛍光蛋白質GFPの遺伝子を挿入したM分節ゲノムをPolIプロモーター下に挿入したプラスミドを作製した。このプラスミドをRdRp発現用およびNP発現用プラスミドとともに細胞に導入したところ、レポーターの発現を確認できた。
SFTSウイルスの方で見込みがあるため、受容体同定に向け今後研究を進めていく。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

レトロウイルスではないウイルスをベクターとしたレポーターの発現がSFTSウイルスを使った場合には確認できている。後は同様の方法でL分節およびS分節のウイルスゲノムを発現するプラスミドを作製すれば、ウイルスの受容体を同定する新実験法が構築できるはずである。

今後の研究の推進方策

L分節およびS分節のウイルスゲノムを発現するプラスミドを作製し、他のプラスミドと組み合わせて細胞に導入することで、細胞に感染しレポーターとともにゲノム複製が起こるが感染性ウイルスは産生しない「感染性レプリコン」ができるはずである。SFTSウイルスの性状から、この感染性レプリコンは細胞傷害を引き起こさないと考えられ、ウイルス受容体同定の新展開となる。
力価の高い感染性レプリコンが得られるか否か、cDNAライブラリーのスクリーニングを行って実際にSFTSウイルスの受容体を同定できるかが今後の課題である。

次年度の研究費の使用計画

本研究とは関係はない出張が急に入り、その時に試薬を購入しても未使用なまま有効期限が切れてしまうと考えられ、購入をしないこととしたため。
前年度購入中止した試薬を購入し、本研究を再開させる。研究の遂行が妨げられないようほかの業務との調整をより一層心がける。

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (13件)

  • [雑誌論文] Distinct usage of three C-type lectins by Japanese encephalitis virus: DC-SIGN, DC-SIGNR, and LSECtin.2014

    • 著者名/発表者名
      Shimojima et al.
    • 雑誌名

      Arch Virol

      巻: 59 ページ: 2023-2031

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] The first identification and retrospective study of severe Fever with thrombocytopenia syndrome in Japan.2014

    • 著者名/発表者名
      Takahashi et al.
    • 雑誌名

      J Infect Dis

      巻: 209(6) ページ: 816-827

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Imported case of acute respiratory tract infection associated with a member of species nelson bay orthoreovirus.2014

    • 著者名/発表者名
      Yamanaka et al.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 9(3) ページ: e92777

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Production and characterization of monoclonal antibodies to Japanese encephalitis virus.2013

    • 著者名/発表者名
      Shimoda et al.
    • 雑誌名

      J Vet Med Sci

      巻: 75(8) ページ: 1077-1080

    • 査読あり
  • [学会発表] シュードタイプウイルスのクリミア・コンゴ出血熱ウイルス中和抗体価測定への応用2013

    • 著者名/発表者名
      須田遊人ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の確定診断に使用されるコンベンショナルPCRの評価,及びリアルタイム定量PCRとの比較2013

    • 著者名/発表者名
      吉河智城ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の血清学的診断法の開発2013

    • 著者名/発表者名
      福間藍子ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] 日本国内で発生した重症熱性血小板減少症候群の1剖検例2013

    • 著者名/発表者名
      長谷川秀樹ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] 後方視的に重症熱性血小板減少症候群と診断された11名のウイルス学的・臨床的・疫学的研究2013

    • 著者名/発表者名
      西條政幸ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] SFTSウイルス抗体陽性動物の調査2013

    • 著者名/発表者名
      森川茂ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] フィリピンのコウモリからの重症熱性血小板減少症候群ウイルスに反応する抗体の検出2013

    • 著者名/発表者名
      谷口怜ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] マダニからのSFTSウイルス遺伝子の検出2013

    • 著者名/発表者名
      宇田晶彦
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] 重症熱性血小板減少症候群ウイルスに対するribavirinのin vitro増殖抑制効果2013

    • 著者名/発表者名
      下島昌幸ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] ナイジェリアにおけるリフトバレー熱の血清疫学2013

    • 著者名/発表者名
      福士秀悦ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] 重症熱性血小板減少症候群ウイルスGPを外套したシュードタイプVSVの作製2013

    • 著者名/発表者名
      谷英樹ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] 重症熱性血小板減少症候群(SFTS)の日本における初症例2013

    • 著者名/発表者名
      高橋徹ら
    • 学会等名
      第61回日本ウイルス学会学術集会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20131110-20131112
  • [学会発表] クリミア・コンゴ出血熱ウイルスのシュードタイプを用いた中和抗体価測定系の構築2013

    • 著者名/発表者名
      須田遊人ら
    • 学会等名
      第156回日本獣医学会
    • 発表場所
      岐阜
    • 年月日
      20130920-20130922

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公開日: 2015-05-28  

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