研究課題
本研究助成では、滲出性加齢黄斑変性(wetAMD)を対象疾患とした。私は予備実験からヒスタミン受容体H4(HRH4)がwetAMD治療の新規ターゲットとなる可能性を見出し、本研究助成を頂いた。HRH4は、wetAMD患者から手術中に採取された組織の免疫染色で、脈絡膜新生血管(CNV)に発現していることが確認された。また、マウス眼底にレーザー照射することによって人工的に作成されたCNV(laser-CNV)にも発現することが確認された。HRH4の遺伝子を欠損するマウス(Hrh4-KOマウス)では、laser-CNVが野生型マウスのそれに比べて有意に小さいことが確認された。また、HRH4受容体拮抗薬であるJNJ7777120を眼内に投与しても、CNVが対照群に比べて有意に抑制することが確認された。さらに、野生型マウスとHrh4-KOマウスにlaser-CNVを作成し、抗血管内皮増殖因子(VEGF)発現量を調べたところ、両者には有意差がないことが確認された。これらのことから、HRH4はVEGFを介さない機構によってCNV産生に関与しており、このHRH4を治療ターゲットとすることで、さらにCNV抑制効果が期待できることが確認された。これらの報告をまとめ、British Journal of Pharmacology (2014)に報告した。さらに、他疾患に対する研究として、HRH4受容体拮抗薬を内服投与して効果を検討している報告がるため、我々も半減期の長いHRH4受容体拮抗薬を用いてマウスlaser-CNVが抑制されるかを検討した。その結果、HRH4受容体拮抗薬によってもlaser-CNVが有意に抑制されることが確認され、これらの研究結果をTranslational Vision Science & Technology (2015)に報告した。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件)
Transl Vis Sci Technol
巻: 4 ページ: 6
Br J Pharmacol.
巻: 171 ページ: 3754
10.1111/bph.12737.