研究課題/領域番号 |
25670234
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
吉村 昭彦 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (90182815)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 制御性T細胞 / サイトカイン / ヘルパーT細胞 / 転写因子 / シグナル伝達 |
研究概要 |
TGFβはナイーブT細胞にFoxp3を誘導することができるが、Smad2/3両欠損マウスでもnTregの発生は正常に起こっていた。このことから胸腺においてはTGFβに依存しない何らかのFoxp3発現維持機構が存在することが示唆される。活性化型T細胞を抑制型に転換するというT細胞のリプログラミングの目標のために、Smad非依存的にFoxp3を誘導しうる遺伝子を単離することをめざした。遺伝子発現データベース検索を中心にTreg誘導に機能する候補因子を選別した。方法としては(1)Tregで発現の高い転写因子を中心に約150遺伝子を完全長cDNAライブラリーよりピックアップし、293細胞を用いたFoxp3プロモーター/ルシフェラーゼによる機能的なスクリーニングを行った。(2)データベースよりTregで発現が高くFoxp3やTGFβの標的ではない遺伝子13個をピックアップしナイーブT細胞に発現させFoxp3の誘導がないか調べた。この2つの方法から核内オーファン受容体であるNr4a2がFoxp3プロモーターを直接活性化することを見いだした。つぎにTh1,Th2,Th17とiTreg,nTregの5つの細胞系譜をもちいたシュミレーションモデルを構築した。TGFβの濃度が低い時はTh17が誘導されやすく、高い時はiTregが誘導されてTh17が減少することがシミュレーションでも示された。これはFoxp3がRORγtの活性を抑制するためと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Tregの発生に必要なNR4aを発見する等ウエットの実験はかなり進んだが、ヘルパーT細胞の分化モデルの作製とシミュレーションは現在進行中であるがTh17/iTregのバランスのTGFβの濃度依存性が再現できた。
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今後の研究の推進方策 |
Th17とTregの分化を制御する因子を単離し、これらを用いて転写因子ネットワークモデルの作製を行う。さらにモデルに基づいてシミュレーションを行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
シミュレーションのモデル化がやや遅れておりこれに基づいたウエット実験が遅れているため。 マウスおよび抗体等の消耗品の購入費用とする。マウスよりT細胞を分離して様々な条件で分化誘導を行う。これをTh1,Th2,th17,iTregの分化モデルのシミュレーション結果と比較する。
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