研究実績の概要 |
胸腺においてはTGF-βに依存しない何らかのFoxp3発現維持機構が存在することが示唆されている。またFoxp3の発現に加えてFoxp3やCD25,EosといったTreg関連遺伝子のDNAメチル化を特徴とするエピジェネテック制御も必須であることが知られている。我々は分化したエフェクターT細胞をTregに転換する目標のためにFoxp3を誘導しうる遺伝子を検索し、核内オーファン受容体であるNr4a2ファミリーを見いだした。先の報告でNR4aファミリーをT細胞で欠失させるとTregが選択的に消失し自己免疫疾患を発症することを報告した(Sekiya et al. Nature Immunol. 2013)。本年度はTregにおけるNR4aの機能を明らかにする目的でFoxp3Creを用いてTregでNR4a1,2,3を欠損する (NR4a-cKO) マウスを作製した。このマウスは加齢とともに自己抗体の産生を伴う自己免疫疾患で死亡した。マイクロアレイ解析を行ったところNR4a欠損TregはIL-4,IL-5,IL-13などのTh2サイトカイン、およびTfh関連サイトカインIL-21の産生が更新し、さらにCD25,CTLA4, Ikzf4(EOS)の発現が低下していた。特にIkzf4の発低下は顕著であった。またTregでは CD25,CTLA4, Ikzf4のプロモーターは脱メチル化されているがNR4a欠損TregではIkzf4遺伝子のメチル化が亢進しており、Nr4aがIkzf4の発現を直接制御している可能性が示唆された。実際にWhole-genome ChIPの結果、NR4a1がIkzf4のプロモーター部分に会合していることが証明され、さらにルシフェラーゼによるプロモーターアッセイでもNr4がIkzf4遺伝子を直接正に制御することが示された。
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