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2013 年度 実施状況報告書

大腸ILC2細胞の機能的特徴の解明

研究課題

研究課題/領域番号 25670237
研究種目

挑戦的萌芽研究

研究機関独立行政法人理化学研究所

研究代表者

新 幸二  独立行政法人理化学研究所, 統合生命医科学研究センター, 上級研究員 (60546787)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2015-03-31
キーワード自然リンパ球 / 腸内細菌 / ビタミン
研究概要

大腸粘膜固有層に存在する自然リンパ球type2(ILC2)については、現在ほとんど研究が進んでいないため、平成25年度の研究で大腸ILC2の詳細なキャラクタライズを行った。大腸粘膜固有層からThy1陽性CD3陰性T1/ST2陽性のILC2とThy1陽性CD3陰性T1/ST2陰性のILC2以外の自然リンパ球をソーティングし、次世代シークエンサーを用いたRNAseqにより遺伝子発現を解析した。同時に肺に存在するILC2も単離し大腸ILC2との比較を行った。大腸と肺のILC2ではこれまでの解析と一致してIL-5、IL-13の発現が高く、解析はうまくいっていると考えられた。大腸ILC2でのみ発現しており、大腸のILC2以外の自然リンパ球や肺ILC2では発現が低い遺伝子を探索した。その結果、特徴的な遺伝子として、IL-4、MHCclassII、ApoEなど興味深い遺伝子が見つかった。
また、大腸ILC2の誘導メカニズムの解析として腸内細菌の関与と食餌成分の関与について解析を行った。腸内細菌が存在しない無菌マウスでは通常のSPFマウスと比較して、大腸ILC2からのIL-4の産生が減少していた。このことから腸内細菌が大腸ILC2からのIL-4産生に関与していることが明らかになった。同様に、SPF環境下で通常の餌からビタミンB1を欠乏した餌を与えて飼育した場合も大腸ILC2からのIL-4産生が低下していた。このことから、ビタミンB1が直接または間接的にILC2からのIL-4産生に関与していることが明らかになった。ビタミンB1はピルビン酸からアセチルCoAへの変換に必要なので、エネルギー代謝の観点からも興味深いと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

申請した計画では平成25年度にIL-4、IL-5、IL-13のレポーターマウスを作成する予定であった。実際にBACを用いたレポーターマウスの作成を試みたが、現在までにきちんとレポーター遺伝子が発現しているマウスを作成できていない。その他の計画に関しては概ね予定通りに進んでいる。

今後の研究の推進方策

IL-4、IL-5、IL-13のレポーターマウスの作成に関しては当初の予定ではBACを用いたトランスジェニックマウスの作成を検討していたがなかなか難しいようで、今後はノックインマウスの作成に切り替えレポーターマウスの作成を試みる予定である。
また、RNAseqの結果から大腸ILC2でのみ発現している複数の興味深い遺伝子が見つかったので、これら遺伝子の解析を通して大腸ILC2の機能解析に繋げていきたい。具体的には、ILC2特異的にMHCclassIIを欠損したマウスを作成し、アレルギー性の下痢モデルや寄生虫感染での影響について解析を行う。同様にIL-4やApoEについてもILC2特異的に欠損させたマウスを作成しILC2特異的に欠損させたマウスを作成し解析を行う。
腸内細菌による大腸ILC2の誘導メカニズムの解析については、抗菌スペクトルの異なる抗生剤を飲水投与し、大腸ILC2のIL-4産生に違いが出るかを解析する。これらの解析により、差が出た場合どのような腸内細菌種が大腸ILC2に影響を与えているかを特定の細菌のみを定着させたノトバイオートマウスを作成し、詳細に解析を行う。ビタミンB1との関係については、IL-4産生にどのようにビタミンB1が関与しているのかを、in vivoとin vitroの解析系をもちいて解析を行う。In vivoではビタミンB1を欠損餌をマウスに与え、その上からビタミンB1を投与すると濃度依存的にILC2からのIL-4産生が回復するかを検討する。また、ビタミンB1の拮抗薬であるオキシチアミン、ピリチアミン投与を投与しビタミンB1欠乏と同様の表現型になるかを解析する。In vitroでは大腸ILC2を単離しビタミンB1ありの培地や阻害剤入りの培地で再刺激した時のIL-4産生がどのように変化するかを解析する。

次年度の研究費の使用計画

今年度はレポーターマウスの作成がうまく行かず、マウス維持や解析にかかるお金が予定より少なくなり来年度に繰り越した。来年度は当初の計画と異なり、ノックインレポーターマウスの作成費がかかる。
当初から計画していた腸内細菌によるILC2の誘導機構の解析のため、無菌マウス購入費用として約100万円かかる。また、試薬購入費用として約50万円かかる予定である。さらに新規にレポーターマウスの作成費用が約100万円かかるため、今年度繰り越したお金を充てる予定である。

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公開日: 2015-05-28  

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