昨年度の調査から、認知症をともなう筋萎縮性側索硬化症(ALS-D)早期スクリーニングに否定的な意見が多かったこと、前頭側頭型変性症(frontotemporal lobar degeneration :FTLD、FTD)との共通原因TDP-43、共通遺伝子の研究が急速に進行している状況下、内外の文献等を網羅的に検索・精査した。PubMed で直近5年のヒトに関して検索、ALS3398、FTLD1852、ALS&FTLD398、&screening258、ðics1件について精査した。2015年2月時点、ALSおよびFTLD関連36遺伝子中、10が両者に共通であり、同じスペクトルの一部であると認識されるようになった。 また、厚生労働科学研究費難治性疾患政策研究事業「神経変性疾患領域における基盤的調査研究班」(変性班)「筋萎縮性側索硬化症および前頭側頭型認知症におけるALS-FTD-Q調査研究」の計画を知り、変性班と連絡を取り、連絡会議・ワークショップ(2014年7月25日)に参加、班会議(12月20日)後も、家族介護者の評価票ALS-FTD-Qが不十分であるため、直接患者をスクリーニングする評価法を開発する等の情報を蒐集した。 一方、難病法施行2015年1月以降、ALSの臨床調査個人票に、認知行動障害、遺伝子検査に関する項目が新たに加わった。2015年2月、日本ALS協会理事、相談役、常務理事、会長、副会長に、内外の最近の研究の進展を説明し、ALSにおける認知行動障害のスクリーニングのあり方について意見を求めたところ、驚きを持って受け止められ、内外の事情を知る専門職から強い危機感の表明があった。そこで、2015年10月をめどに、伊藤道哉が中心となり日本ALS協会患者会員に対する悉皆調査を行い、ALSで認知行動障害がある場合の療養上の問題点を明らかにすることに決した。
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