申請者らは公知申請で承認された抗癌剤において、日本の審査当局の判断についてクリティカルレビューを行い、その妥当性を評価する方法を確立した。本研究ではさらにこの手法を進めて、分子標的薬承認に適応した審査方法の確立を目指すために、1)日本で承認された分子標的薬についてのクリティカルレビュー、2)医師の分子標的薬に対する使用実態調査、3)レビュー結果と実臨床との比較を計画した。 当該年度の研究成果は1)2012年7月時点で保険収載されている21の分子標的薬について医薬品医療機器総合機構で公表している32の審査報告書をもとに、承認審査についてレビューを行い、有効性や安全性に関して柔軟な審査がなされていることが明らかになった。その結果について東北公衆衛生学会で発表し、論文を学術雑誌に投稿中である。2)分子標的薬の使用実態に関し、膵癌患者が分子標的薬を使用しなかった理由に関する症例報告が学術雑誌に掲載された。3)山形県内の6つのがん診療連携拠点病院に勤務し、平成24年7月時点で保険収載されていた21の分子標的薬を日常臨床で取り扱う医師に、使用満足度に関する無記名のアンケート調査を行った。アンケート項目には経験年数や専門分野などの他、各薬剤(適応疾患別で計33個)の費用・効果・副作用に対する満足度を5段階で評価してもらった。250名中144名から回答が得られ、満足度調査の結果について、レビュー結果からの検討も含めて論文作成中である。また2015年の臨床腫瘍学会でも発表予定である。
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