研究課題/領域番号 |
25670245
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
中野 俊也 鳥取大学, 医学部, 准教授 (00294322)
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研究分担者 |
高橋 洋一 鳥取大学, 医学部, 助教 (40594271)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 頭痛診療教育 / 医療面接 / シミュレーション教育 |
研究実績の概要 |
頭痛は日常診療において最も重要な症状・疾患の1つであり、頭痛の診断には国際頭痛分類を念頭に置いた適切な医療面接が不可欠であるが、医学部における従来の教育方法では頭痛に関する十分な診断能力の習得は困難であると考えられる。国際頭痛分類に基づいた種々の効果的な頭痛症例シナリオによる模擬患者協力型医療面接とシミュレータ併用による実践的な頭痛診療シミュレーションプログラムを構築、実施し、その有用性を検証するのが本研究の目的である。 平成27年度は、平成26年度に5年次神経内科臨床実習において模擬患者協力型頭痛診療シミュレーションプログラムを行った現6年次学生を対象として頭痛に関する客観試験(多肢選択問題形式)を行い、プログラムを実施していない(臨床実習中に頭痛に関する小講義のみを実施)前年度学生に対して行った同様の客観試験の結果と比較検討した。その結果、統計学的に有意ではないものの、プログラム実施群では非実施群に比べて得点が高い傾向が認められ、模擬患者協力型頭痛診療シミュレーションプログラムは知識の習得においても有用であることが示唆された。 本プログラムによる実習に対する満足度に関するアンケートでは、ほとんどの学生が「有用であった」、「頭痛に関する診断能力が向上したと思う」と回答しており、模擬患者協力型頭痛診療シミュレーションプログラムは学生のモチベーション向上等の面で有用であると考えられた。 症例シナリオ、実習方法に改良を加えて、平成27年度も5年次臨床実習における模擬患者協力型頭痛診療シミュレーションプログラムを継続しており、今後は更に効果的なプログラム構築とその有用性の検証を行っていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初想定していたレベルの頭痛診療シミュレーションプログラムとしての症例シナリオ作成、プログラム構築ができ、対象となる学年のほぼ全学生を対象としてプログラムを実施することができたが、プログラムの効果の検証において、知識習得面での効果が統計学的に有意なレベルには至らず、今後更にプログラムの改良が必要であると考えられる。また、技能、態度面を含めた実践的診断能力の習得状況を適切に評価できる方法の確立も必要である。
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今後の研究の推進方策 |
症例シナリオの改良、充実、実習方法の更なる改善を行って、平成28年度も模擬患者協力型頭痛診療シミュレーションプログラムを行い、より高レベルのシミュレーションプログラムの構築とその有用性の検証を行っていく予定である。 また、実践的診断能力の習得状況を適切かつできるだけ簡便に評価できる方法についても検討し、シミュレーションプログラムの効果を多角的に検証していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に行った模擬患者協力型頭痛診療シミュレーションプログラムでは1人の模擬患者が複数のシナリオを担当する方式で実習を行ったため、模擬患者への謝金の使用額が当初の予定よりも少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
症例シナリオの改良、充実、実習方法の更なる改善を行い、平成28年度も模擬患者の協力を得て頭痛診療シミュレーションプログラムを行い、より高レベルのシミュレーションプログラムの構築とその有用性の検証を行っていく。 平成28年度に開催される第48回日本医学教育学会大会やその他の学会に出席し、研究成果の発表ならびに研究の継続、発展に必要な情報収集を行う。
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