乳癌治療に関する意思決定過程へのより積極的な参加がその満足および後悔に関係しているのかどうかを乳癌の治療を受けた女性を対象にしたインターネット調査で検討した。 乳癌治療に関する意思決定において、約半数(49.8%)の女性が主治医と一緒に最適な治療法を決めたい(shared decision making;SDM)と考えていたが、実際の決定は、「自分の考えで治療法を決めた」「主治医の意見を考慮して自分が決めた」とより積極的に行ったと認識していた(47.8%)。実際の意思決定をSDMで行った女性は29.8%であった。 治療に関する意思決定をSDMでした女性は、「自分で決めた」あるいは「医師にゆだねた」女性に比較して、より納得して治療法を決めており、その過程にも満足していた。また、治療方法を決める過程での医師との関係においてもより高い満足度を示した。SMDで意思決定を行なった女性の約90%は将来病気の治療法を決める際もSDMで行いたいと考えていた。治療内容を「自分で決めた」、「医師にゆだねた」女性が次回も同様の意思決定方法を選択すると考える割合は64.6%、42.8%であった。これらの結果は、乳癌女性にとって主治医と一緒に治療の選択をするのがより良い方法であることを示唆している。 一方、治療に関する意思決定への関わり方に関係なく、その意向役割と実際役割が一致した女性は、より積極的及びより消極的に変化した女性に比較して意思決定過程とその過程における医師との関係に高い満足を示した。また、実際役割が意向役割よりも消極的に変化した女性に比較して、より納得して治療方法を決めておりその内容にも満足していた。 医療の質を患者の満足度という観点から考えた場合、乳癌女性がどのように治療選択の過程に関わりたいかを考慮し、各々の意向に沿った関わり方が出来る様にサポートすることが大切であろう。
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