研究概要 |
これまで、パルス幅0.1ミリ秒の微弱電流 (MES) が細胞レベルならびに生体レベルで特有の生物活性を有することを明らかにし、昨年度は、その成果の一つとして、p53の活性化がパルス幅0.1ミリ秒の微弱電流により惹起されること、また、その活性化によっては、アポトーシスは引き起こされないことなどを分子機構とともに明らかにし、Journal of Biological Chemistryに発表した。MES の効果を制御する最上流因子, すなわち「MES 受容体」の存在を検証した. MES はphysical stress として, まず, 個の細胞を規定する細胞膜に影響を与え, 生体に受容されると想定される. そこで, 本研究では細胞膜に存在する機械的刺激受容体 transient receptor potential (TRP) channel family に焦点をあてた. まず, MES によるAMPK の活性化を指標とし, 全 29 種類存在する TRP channel に対して広範に作用する数種類の阻害剤を用いたスクリーニング実験を行った. その結果, 驚くべきことに, TRPM7 に阻害効果を示す複数の薬物が MES によるAMPK 活性化を抑制した. さらにsiRNA を用いた TRPM7 特異的ノックダウンでも同様の効果が確認された. 現在、TRPMの変異線虫ならびに他のTRP familyの変異線虫を揃え、その確認を実施中である。
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