研究課題/領域番号 |
25670264
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
千葉 満 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (20583735)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 被ばくバイオマーカー / エキソソーム / RNA |
研究概要 |
本研究課題は新たな放射線被ばく特異的RNAバイオマーカーを見つけるための基礎検討を行うものである。今年度はまず血清から分泌されるエキソソームの回収法とエキソソーム内在性RNAの網羅的解析法の検討を行った。また血清中エキソソーム内在性RNAの絶対定量法の確立を検討した。 血清中エキソソームは市販試薬のTotal Exosome Isolation (Life Technologies社)を使用して回収した。回収したエキソソームにはエキソソームマーカーとして知られているテトラスパニンファミリーのCD63の存在がウエスタンブロットによって確認できた。次に回収したエキソソームからRNAの単離を検討したところ、Agilentバイオアナライザ解析によって25-200ヌクレオチドサイズのsmall RNAが多いことが明らかになった。血清中エキソソームに内在するmRNA・microRNA・アンチセンスnon-coding RNAをマイクロアレイ法によって多数同定することに成功した。またエキソソーム内在性RNAを精製し、次世代シークエンサーによる解析を行い、未知RNA種の同定にも成功し、現在詳細な解析中である。加えて、血清中エキソソーム内在性microRNAの絶対定量法を確立できた。これらの成果より、血清中エキソソーム内には非常に多くのRNAの存在が明らかになり、コピー数の絶対定量が可能となった。 発現変動したRNA成分は、細胞外へ分泌されるエキソソーム内のRNA成分にも影響を与えることが予想される。現在、我々はX線を照射した実験動物の血清を回収し、被ばくによって血清中に増加するエキソソーム内在性RNA種を同定する研究を行っている。原発事故などによる内部放射線被ばく線量を迅速に評価することが可能になれば、被ばく治療方針の決定に役立つため非常に意義のある研究である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
○血清中エキソソームの回収法と内在性RNA種同定法の検討(達成度100%) 血清中エキソソーム内に存在するRNAの網羅的解析が可能となった。また、RNAコピー数の絶対定量法を確立した。それゆえ、今度の研究計画はスムーズに進むと考えられる。今年度は放射線被ばくさせた実験動物の血清を回収し、放射線被ばく特異的エキソソーム内在性RNAバイオマーカーの同定を検討する。
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今後の研究の推進方策 |
現在では実験動物にX線を照射して血清を回収する準備を進めている。回収された血清からエキソソームを単離して被ばくによって特異的に血清中に発現上昇するmRNA・microRNA・アンチセンスnon-coding RNAを同定する。これらの解析によって被ばく線量評価に有用なエキソソーム内在性RNA候補を同定する。将来的には定量PCR法等によって迅速に被ばく線量を評価できる方法の開発を目指す。
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