デング熱、ウエストナイル熱、黄熱など蚊で媒介されるウイルス性疾患は、互いに症状も似ており、しかも血清学的に交叉を示すことから、免疫学的検査のみによって診断を下すことは困難である。本研究では、これらフラビウイルス感染症を、1回の検査で迅速に鑑別できる遺伝子診断法を開発することを目的とした。データベース上の配列情報を精査した結果、ウイルス増殖に必須なメチルトランスフェラーゼとRNAポリメラーゼをコードしている非構造蛋白質NS5遺伝子内に共通プライマーを設定したRT-PCRにより各ウイルス群が明確に判別できることを見い出し、実際に少なくともデングウイルスの4つの血清型が鑑別診断できることを確認した。
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