研究課題
挑戦的萌芽研究
膠芽腫は脳腫瘍の中で最も悪性度が高く、未だに治療が困難である。近年、膠芽腫の再発や予後に、神経膠腫幹細胞(GCS)が関与していることが示唆されている。本申請では、脂肪酸結合タンパク質(FABP)に着目し、膠芽腫およびGCSにおける発現と機能について解析を行っている。本年度得られた主な実績は以下の通りである。1.グリア細胞由来の悪性腫瘍である膠芽腫におけるFABP7発現について、ヒトグリオーマ株およびグリオーマ幹細胞株を用いた検討を行った。その結果、FABP7は腫瘍分化能を有する幹細胞において有意に高い発現を示し、さらにヒト神経膠腫の悪性度と正の相関を示すことが明らかになった。2.ヒト膠芽腫では、FABP7とSox2(幹細胞マーカーの一つ)が高い共存関係を示すことを明らかにした。3.幹細胞株において血清により分化を誘導すると、FABP5は発現が上昇するのに対して、FABP7は、著明な発現低下を示すことを明らかにした。4.ELISA法により、膠芽腫患者由来の髄液中FABP7量を測定した結果、FABP7は正常髄液に比べ、有意に上昇していることが判明した(投稿準備中)
2: おおむね順調に進展している
初年度に予定していた膠芽腫幹細胞株における発現検討、および膠芽腫手術標本での免疫組織学的解析を順調に完了し、成果の発表(国内・国際学会での発表、および論文発表)を行った。さらに、幹細胞株への遺伝子導入に関する条件検討も終了し、細胞分裂、腫瘍浸潤等への影響を精査している。実験は、当初の計画通りに進んでいる。
計画書通りに鋭意研究を推進する。特にFABP7が膠芽腫の浸潤・増殖に担う役割について、検討するとともに、FABP7測定系を更にブラッシュアップさせることにより、血清中での検出を目指す。
初代培養への遺伝子導入実験に着手していないため、未使用額が生じているものの、現在実験準備が整いつつある。次年度は、遺伝子導入実験に関連する細胞培養実験試薬等に平成25年度の未使用額を合算し、研究費を執行する予定である。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (5件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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