研究課題
ごく最近、アレルギー疾患、特に難治性の気管支喘息と肥満の合併が、共通した食生活の問題から生じることが知られるようになった。本研究では、食生活に起因するアレルギーと肥満における病態として考えられているヒト腸内細菌叢と免疫系を調べることによって、アレルギーと肥満における共通の腸内細菌叢マイクロバイオームマーカーを同定する。平成25年度にリクルートできた喘息患者10人と花粉症患者10人のうち、追跡できた26年度の8人に加え、さらに5人を追跡した。本年までに追跡できた13人のうち、喘息が消失した人の子供4人と、存続した子供5人、花粉症が存続した4人(観察開始時の年齢3-5歳、消失群と存続群の間には25年度、27年度に年齢、体重の有意な差はない)の3群を比較し、あるいは25年度の結果と比較した。乳酸菌含有食品、大豆、食物繊維の摂取頻度などを含めたDHQ(自記式食事歴法質問票)について詳細に聞き取った。採取する糞便より、全細菌DNAを抽出し、16S rRNA遺伝子クローンライブラリー法を用いて腸内細菌叢の菌種解析を行った。また同時にメタゲノム解析を行った。その結果、Enterobacteriaceae, Enterococcaceae, Staphylococcaceae, Bidfidobacterium, Blautia, Collinsellaなどの主要菌種の数には群間には1年間の追跡において差がなかったが、その発現パターンの差については、消失群と存続群に差が認められた。その3群間に体重増加の差がないにもかかわらず、消失群と存続群ではBidfidobacteriuと体重増加の関係の違いが認められることから、小児の喘息の消失には、炭水化物などの摂取を控えた体重増加の抑制と腸内細菌叢の変動と関係があることが考えられたが、さらなる例数を増やした菌種解析と追跡研究によって、この因果関係と病理学的機序を明らかにする必要があると考えられた。
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