研究課題/領域番号 |
25670298
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
磯 博康 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50223053)
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研究分担者 |
澤田 典絵 独立行政法人国立がん研究センター, その他部局等, その他 (00446551)
山岸 良匡 筑波大学, 医学医療系, 講師 (20375504)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 1 |
研究実績の概要 |
虚血性心疾患の発症の把握:これまでの全虚血性心疾患発症例約1400例のうち、昨年度までに症例対照の選定を行った209症例と418対照に加えて、新たに虚血性心疾患106例を同定した。これらについては、次年度の症例の同定を待って、血漿が保存されている症例を選定し、昨年と同様に対照を性、年齢、地域にマッチさせ、症例1に対し対照2の割合で無作為に選定する。最終的に500:1000程度の症例対照数となることが見込まれる。 2)魚関連バイオマーカーの測定:血漿n-3系不飽和脂肪酸、カルシウム、ビタミンDについては測定準備が完了している。水銀とカドミウムの測定については、昨年度検討していた測定方法では本研究対象に適さないことが判明し、別の方法により、パイロット的に約10例のサンプルについて血漿水銀値とカドミウム値、及び尿中水銀値とカドミウム値の測定を予定している。測定法が確立次第、上記症例対照の血漿測定を開始する。 3)魚関連因子として食事中のn-3系不飽和脂肪酸、水銀、カドミウム摂取量と虚血性心疾患リスクとの関連を行うため、栄養調査データの整理と分析データベースの構築を行った。また、血漿n-3系不飽和脂肪酸と虚血性心疾患については、前年度までの症例対照について分析を行った。その結果、食事・血漿とも、n-3系不飽和脂肪酸との関連は非致死性虚血性心疾患よりも致死性虚血性心疾患において強い傾向が確認されたことから、致死性虚血性心疾患に絞った分析を行うことも検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度実施予定であった虚血性心疾患の把握を計画通りに遂行した。また、血漿n-3系不飽和脂肪酸と虚血性心疾患との関連の分析を行い、さらに例数を増やした分析を検討している。 水銀とカドミウムについては、パイロット的測定を行った結果、従来の測定系では本研究に堪えられないことが明らかとなったため、現在新しい測定系においてパイロット的測定の準備を進めている。 食事中のn-3系不飽和脂肪酸、水銀、カドミウム摂取量と虚血性心疾患リスクに関する栄養調査データの整理と分析データベースの構築を行い、一部分析を開始した。また、血漿n-3系不飽和脂肪酸と虚血性心疾患については、前年度までの症例について分析が完了した。 測定系の確立が若干遅れているが、この問題は当初より想定されたものであり、パイロットサンプルを用いて慎重に実験を重ね未然に失敗を防ぎ、新しい系の確立につながっている。したがっていずれのプロセスも当初予定に添って順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
虚血性心疾患の発症把握は順調に進んでおり、さらに血漿が保存されている症例・対照は増加する見込みである。最終的には500症例:1000対照を目標に同定を進めるが、状況によっては致死性虚血性心疾患に絞った分析を行うことも検討する。水銀とカドミウムの測定については、新しい方法でのパイロット測定をまもなく開始し、次年度中に新たな追加症例を含めた血漿測定を完了する。並行して、完成した食事中のn-3系不飽和脂肪酸、水銀・カドミウム摂取量のデータベースを基に分析を進めるとともに、血漿n-3系不飽和脂肪酸と虚血性心疾患の関連について論文化を進め、研究を総括する。
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次年度使用額が生じた理由 |
最終年度の検査費として充当するため。
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次年度使用額の使用計画 |
水銀とカドミウムの測定に充当する。新しい方法でのパイロット測定をまもなく開始し、次年度中に新たな追加症例を含めた血漿測定を完了する
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