研究実績の概要 |
本研究では、まず福岡エリアの90人のダウン症患者の養育者にアンケート調査を行い、肥満度や就眠時の体位、無呼吸やいびきなどの睡眠時無呼吸症候群(SAS)を疑う症状の有無を検討した。その結果、座位などの特殊な睡眠体位がダウン症児には多く見受けられ、特にSASを疑う児に多いことが判明した。さらに、6歳から15歳のダウン症児では、肥満と関連なくSAS関連症状が多いことが判明し、ダウン症者では、肥満以外の要因でSASが生じている可能性が高いことを見出し論文化した(Ono et al, 2015)。 その後、このダウン症者の養育者のうち賛同を得た患児に酸素飽和度を計測するためのパルスオキシメーターを装着し、睡眠体位やSAS症状と酸素飽和度低下の関連を検討した。その結果、非通常睡眠体位が多い児では酸素飽和度の低下が少ないことがわかり、ダウン症者ではSASによる低酸素状態を改善するためにこの特殊睡眠体位をとっている可能性が強いと考え報告した(Rahmawati et al, 2015)。 次に、日本全体の状況を見るため、全国のダウン症者2000人の養育者に前回と同様の質問票を送り、先天性心臓病の状態、SAS症状の有無、睡眠体位などを調査した。その結果、まず、ファロー4徴症などの重症心臓病があるダウン症者では、よりSAS症状が多いことが判明した。このことは心不全との関連も考えられ、このことを論文報告した(Sawatari et al, 2015)。
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