研究概要 |
平成19年度より出生前コホート研究である「九州・沖縄母子保健研究」を開始し、ベースライン調査、出生時、生後4ヶ月時、1歳時、2歳時、3歳時、4歳時追跡調査にそれぞれ1,757名の妊婦、1,590組、1,527組、1,430組、1,362組、1,306組、1,266組の母子が参加した。現在、5歳時及び6歳時追跡調査を実施している。生後4ヶ月前後に1,492組の母子から遺伝子検体を得た。 ベースラインデータを活用し、1745名の妊婦において妊娠中の栄養摂取とCES-Dスコア16点以上で定義した妊娠中うつ症状との関連を評価した。うつ症状の有症率は19.3%であった。各食品、栄養素摂取量を4分位して解析を行った。魚介類、エイコサペンタエン及びドコサヘキサエン酸摂取量が多いほど、妊娠中うつ症状の有症率が有意に低下し、最も摂取量の多い第四4分位の補正オッズ比(95%信頼区間, 傾向性P値)はそれぞれ、0.61 (0.42 to 0.87, 0.01)、0.66 (0.46 to 0.95, 0.02)、0.64 (0.44 to 0.93, 0.007)であった。肉類、飽和脂肪酸、一価不飽和脂肪酸、αリノレン酸、n-6系不飽和脂肪酸摂取とは関連がなかった。ヨーグルト及びカルシウム摂取量が多いほど、妊娠中うつ症状の有症率が有意に低下し、最も摂取量の多い第四4分位の補正オッズ比(95%信頼区間, 傾向性P値)はそれぞれ、0.69 (0.48 to 0.99, 0.03)、0.59 (0.40 to 0.88, 0.006)であった。牛乳、チーズ、総乳製品摂取とは関連がなかった。 以上、2つの論文が英文学術誌に原著として受理された。BDNF、FADS1、FADS2、RORA遺伝子多型のタイピングを終えた。
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