研究概要 |
本研究において使用しているデータ(宮城県コホート研究)は、平成2年に宮城県内14町村に居住する40歳から64歳までの者全員(51,921人)を対象に生活習慣に関する質問票調査を実施し、有効回答者47,605人(91.7%)の生存・死亡状況(死亡原因)やがん罹患などを追跡しているものである。 本年度は、平成21年4月1日から同25年3月31日までの4年間の死亡状況を調査した。その結果、平成2年9月からの累計(22.5年間)で9,936人が死亡したことを確認した。そのうち、897人(9.0%)が平成23年3月の1ヵ月間だけで死亡していた。これは、調査対象地区が、河北町・北上町・女川町・唐桑町といった津波被害の甚大であった地区を含むためであった。たとえば、河北町では、累積死亡者1,157人のうち438人(37.9%)が平成23年3月に死亡した。同様に、女川町では累積死亡者1,200人のうち657人(54.8%)が平成23年3月に死亡した。 平成23年3月以降の5ヵ月間(平成23年4月~8月)の1ヶ月あたり平均死亡者数は63.2人であり、その1年前(平成22年4月~8月)のそれ(55.2人)より有意に多く、震災後長期にわたって過剰死亡が続いたことが示された。また、震災後の死亡率増加は沿岸部の町(前述)で顕著に見られた。 現在、厚生労働省および総務省に人口動態調査死亡票の閲覧を申請しているところであり、データを入手次第、死亡原因の調査に着手するものである。これにより、震災の前後で死因別死亡率に変化があったかどうか、さらに平成2年調査における生活習慣・心理要因(パーソナリティ)などと死亡リスク変化との関連を解析する。
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