研究課題/領域番号 |
25670311
|
研究種目 |
挑戦的萌芽研究
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
石井 映美 筑波大学, 医学医療系, 助教 (30593008)
|
研究分担者 |
太刀川 弘和 筑波大学, 医学医療系, 講師 (10344889)
堀 孝文 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40241822)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 大学生 / 精神疾患 / 卒業 / 退学 / 引きこもり / 留年・休学 / 重症度 / 精神科治療 |
研究概要 |
研究計画に基づき、平成24年度までの本学保健管理センター精神科受診者自験例(学群学生全163例)の学業転帰情報を取得し、それに基づいて自験例を卒業群(146例)・退学群(17例)の2群に分けた。さらにその診療録を後方視的に調査し、転帰に関わると予測された項目について集計した。 統計学的手法を用いて検討した結果、自験例は全学に比し、有意に退学率が高かった。さらに退学群は有意に文系学生が多く、引きこもり期間が長く、留年が多く、また休学期間が長いことが明らかになった。退学群はまた、有意に初診時の重症度が高く、当センターの診療回数が多かった。4年次に初診となる例が多い卒業群に比し、退学群は初診時学年の偏りが少ない傾向にあった。 さらに時間の要素を取り入れたcox回帰分析等の手法を用いたところ、学業転帰に有意に影響する要因が以下の様に明らかになった。①初診時の重症度 ②留年・休学歴 ③引きこもり期間 ④通院(治療)期間 の4つである。 以上の結果から、軽症のうちに受診を勧めること、引きこもりへの対策、教育組織と診療機関との連携、根気良い十分な治療を勧めることが、学業転帰を改善させる上で重要と考えられた。 この結果は、第51回全国保健管理研究集会(H24.11.13-14)で発表し、現在報告準備中である。また、かねてより継続していた学生のメンタルヘルスに関する学内の教育組織との勉強・連絡会の実施に加え、留年・休学者を支援するためのワークショップを開催した(H25.3.1)。このワークショップの中で引きこもりを取り上げ討論し、関係者に上記研究結果を提示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
該当年度までの学生の学業転帰の情報収集と診療録の調査、データの集計・解析は終了しており、一定の結果も得られている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も今回の手法を参考にして、新たな症例について同様の作業を繰り返し、症例を蓄積していく予定である。 今後の課題は、関係教育組織に結果を提示し意見をつのること、また実際に困っている教育組織や学生にどうフィードバックしていくのが望ましいかを検討することであり、自殺との関連にも(自殺者数はわすかなので、期間内に一定の結論を得るのは難しいが)留意していく。
|
次年度の研究費の使用計画 |
今回、新たな統計解析ソフトウェアや外付けハードディスク等物品の購入を検討していたが、金額が足りず断念することになり残額が生じる結果となった。 次年度の金額と合わせ、新たに必要となる物品費購入にあてる計画である。 次年度も新たな症例を加え、今回同様対象症例の診療録からデータを収集し統計学的手法による解析を行う予定である。このため、症例数が増えるに当たり、データ処理のための新たな物品費を要する予定である。
|