研究実績の概要 |
2014年度は、外来患者における医薬品別の「重複処方」の割合を明らかにすること、医療機関における重複処方患者の割合を明らかにすることを目的とし、昨年度取得・整理を行った複数の健康保険組合のレセプトデータ(2012年12月)を用いた分析を行った。医薬品は、ATC分類の第2レベルで分類を行った。「重複処方」を、「ATC分類第2レベル(3桁)が同じ薬剤を1か月の間で複数の医療機関より処方されている」と定義した。医薬品別の「重複処方割合」は、「該当する同分類医薬品を2医療機関以上より処方されている患者数(重複処方患者数)」/「該当医薬品を処方されている外来患者数(有病数)」で算出した。 被保険者は、1,243,058名であった。全般的に、有病割合の高い医薬品ほど、重複処方割合が高い傾向がみられた(相関係数:0.90)。0-19歳では、有病割合の高い医薬品は、咳と感冒用製剤(有病割合11.2%, 38,356/343,936)であり、重複処方割合は10.8%(4,147/38,356名)であった(うち2医療機関:3,850名、3医療機関:282名、4医療機関:15名)。全身用抗菌薬では9.3%(3,372/36,231)、全身用抗ヒスタミン薬では8.5%(2,654/31,297)であった。20-39歳では、咳と感冒用製剤(有病割合3.0%, 13,856/461,314)であり、重複処方割合は5.5%(769名)であった。40-64歳では、カルシウムチャネル遮断薬、レニン・アンジオテンシン系作用薬、脂質修飾剤、糖尿病薬、抗痛風製剤(有病割合3.2-3.8%)では、重複処方割合は1%に満たなかった。65歳以上においては、40-64歳にくらべ有病割合は増えるが、同様の傾向が見られた。
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