研究課題
挑戦的萌芽研究
じん肺の医学的スクリーニングは、胸部エックス線検査を用いて、粒状影及び不整形陰影などびまん性陰影の密度をスケールとなる標準写真と比較することによってなされる。これまで1960年制定のじん肺法に基づき、70年代に撮られたレントゲン写真が主体である厚生労働省じん肺標準エックス線フィルムを用いて判定して来た為、過去の画像と比較し易い画像条件が維持されて来ていた。これはデジタルエックス線の導入の際にも、課題となり、通常の臨床画像がデジタルエックス線の利点を最大限に用いた画像では、じん肺陰影に影響が出るのではないかとの危惧から、従来型のX線写真にできるだけ似せた画像条件が使われて来た。我々も参加した厚生労働省研究班がデジタルエックス線のじん肺条件を提案し、現在、電子版じん肺標準エックス線画像も利用可能となった。現在、全国労働衛生団体連合会胸部エックス線専門委員会で用いられている評価基準からみると、じん肺胸部エックス線条件は過去のレントゲン画像での肺野の描出を最適化した条件を引き継いでいるため、デジタルエックス線の導入後の問題として、心陰影に重なる部分、横隔膜下などの描出は最適ではない。こうした観点も含めて、これまで収集してきたけい肺及び石綿関連疾患のデジタル胸部エックス線画像について、画像の評価を行った。また、実際に検診業務を行っている労働衛生機関の協力を得て、3000例を目処に処理前データの保存体制を構築した。
2: おおむね順調に進展している
採択以降、それまで内諾を得ていた労働衛生機関との具体的な検討を実施し、デジタルエックス線装置メーカーとの打合せなどを経て、H26年4月から新規画像データの集積が始まっている。これは当初の計画通りである。また、これと平行して、これまで収集した画像についての条件検討を実施している。
新しい画像を収集するとともに、これまで収集した画像を用いて、標準胸部条件とじん肺条件およびパラメータを変化させた新条件を全衛連の評価表を用いて検討する。これらを新規に収集した画像においても適用し、じん肺のエックス線分類に用いる際の問題点を検討する。
別資金からの旅費を使っての東京出張の際に、協力機関である労働衛生機関との協議を行っていたためと、海外の学会発表の際にも、招待講演であったため、旅費が支給されたことが大きい。効率的に資金を節約できたため、次年度は関係者を招集しての研究会議など効果的な意見交換の場を設定する。また、研究に従事する大学院生の発表の際の旅費などにも活用する。
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巻: - ページ: -
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