印刷業従事者に発症する胆管がんが社会問題となり、有機溶剤が原因ではないかと推測されている。本研究は大阪市大病院の胆管がん特別外来および外科治療で得た胆汁中に印刷業従事者に特異的な発がんプロモーターを探索することを目的とした。印刷業従事者の胆管がん、それ以外の胆道系がん、総胆管結石、膵がん、肝がんについて胆汁の変異原性試験、酸化還元動態(脂質過酸化物、チオール分析)、胆汁酸組成を解析した。結果、印刷業従事者とそれ以外の胆管癌を比較すると、酸化型グルタチオンの割合と二次胆汁酸が多いことであった。本結果の意義やその他のがんとの比較など課題は多いが、継続して新たな発がんプロモーターの探索に着手する。
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