本研究では高齢者の総合就労支援システムのモデルとして就業支援センターに着目し、求職高齢者の社会活動および生活状況と就労意識について検討することを目的として、郵送アンケート方式による利用者への縦断調査を実施した。調査期間は2013年1月28日から2014年3月31日で、期間内に初回調査票(BL)を配布した対象者は180名。内128名(73.6%)から回答が得られた。次にその回答者を対象とし2週後に第一回追跡調査(F1)を郵送し103名(91.2%)から回答が得られた。以下同様に所定の間隔期間(4週、8週、12週、以下12週毎)を設定して追跡調査F2、F3、F4、F5を実施し、それぞれ81名、64名、41名、30名の回答が得られた。 BL回答者では男性82名(64.1%)、女性46名(35.9%)と男性が有意に多数を占めた。年齢は比較的若く独居率は31.3%である。これは55歳から74歳までの全国平均22.5%と比較して高い。最終学歴も比較的低くいずれの団体にも所属していないものも半数を超える。また年齢が若く主観的健康感が維持されている一方で、年齢が若いほどに暮らし向きに苦労している。今は比較的若く身体的な健康度は維持されているものの、いずれ閉じこもりへと繋がるリスクを抱えている事が伺える。就労支援機関の活用がこれらのリスクの予防に寄与する可能性がある。 前職の離職理由については半数が望まないネガティブな離職であったことから、必要に迫られ求職している高齢者が多いが、一方で健康や生きがい、社会とのつながりを求める回答も一定数あった。 仕事を選ぶ際に、能力や経験が活かせることが重要であるという回答が最も多く、収入よりも過去の経験等を活かしたい気持ちがある一方、こうした拘りが仕事探しに影響し、強いては雇用のミスマッチにも影響していることも推察される。
|