本研究は、患者の医療サービスの経験に対する評価を基盤として、医療の質の改善において有用となる評価法を具体的に提示することにより、患者の視点に基づく、より広い視座から医療サービスを再構築することを最終的な目標とし、医療サービスの再構築に向けて、医療の受け手である、患者らの医療サービスに対する経験評価の在り方を具体的に把握するために、その実証的な検証に資するデータの構築と、さらにはこうした評価の有効性を検証することを目的とした。 最終年度においては、前年度までに実施した、患者による医療サービスの経験評価の理論的概念および方法論における論点の整理を元に、患者の視点から医療の質の改善において有用であると考えられる患者の医療サービスの経験に関する質問項目の選定、およびそれらを用いての医療機関に入院経験のある者らへのインタビューを実施し、質問項目に関する検討を踏まえ、試行的な検討を経た後、実際の医療機関において、退院した患者の方々を対象とした調査を実施した。 具体的には、2つの民間市中病院においてデータを構築するための調整、および準備作業を行い、実際のデータ収集を実施した。これら2つの医療機関それぞれにおいて、調査票回収の細かな作業に違いが生じることが事前に判明したため、調査プロトコルを医療機関それぞれの作業に合わせて準備した。実際のところ、具体的な回収作業などの事務作業に関しても、医療機関ごとに異なる課題が発生し、調査データの構築に課題が見られた。
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