本研究の目的は、虐待というストレスが加わった子どもの脳で、脳神経細胞におけるDNAメチル化の検索を行うことである。海馬のパラフィン包埋切片からレーザーマイクロダイセクションシステムを利用して、神経細胞層を特異的に切り出し、そこからDNAを抽出し、バイサルファイト処理後に、NR3C1遺伝子プロモーター1Fを標的にPCRを行い、クローニング後に塩基配列調べメチル化の検索を行った。虐待例1例と内因性急死例2例の脳について調べた。虐待例ではメチル化部位の増加や転写因子NGFI-Aの認識配列のメチル化等が認められた。従って、虐待では海馬の神経細胞のメチル化が亢進することが示唆された。
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