研究課題
挑戦的萌芽研究
老化先進国日本では、高齢者の虚弱性(寝たきりや介護要)が今後の社会的問題にまで張発展しうる可能性を我々は危惧し(今後寝たきりは3倍以上に増えるという試算もある)、寝たきり予防に応用可能な基盤研究が必要と感じ本計画を立案した。本計画では、沖縄科学技術大学院大学(OIST)のもつメタボロームという最先端機器と、我々のもつ老化研究のノウハウを生かし、寝たきり予防効果や高齢者の新規老化マーカー探索を目的としている。まず、我々は、最近長寿遺伝子として注目されるレスベラトロールに焦点をあて、その寝たきり予防応用のための経皮吸収効果を確認することとした。まずマウスを用いて、レスベラトロール経皮吸収効果を検討し、その代謝産物の血中ピーク同定、経皮吸収効果の方法、そして抗炎症作用も見出した(現在論文投稿中)。次に、60名近い血液サンプル(高齢群と若年群)を、沖縄科学技術大学院大学(OIST)にてメタボローム解析を行い、新規代謝あるいは老化マーカーの探索を行った。その結果、大きく3つのメタボライト(①個人差の少ないもの②個人差の大きいもの③高齢と若年で差が大きいもの)に分かれることが判明した。個人差が大きなもののいくつかに、高齢者と若年で大きなプロファイルの違いがあることを見出した(論文準備中)。今後、これら成果の早急な論文発表を目指す。
2: おおむね順調に進展している
レスベラトロールに関して、経口投与による血中のピーク検出に成功したので、さらなる解析を行った。まず、レスベラトロールそのものだけではなく、その関連代謝産物のピーク同定に成功したので、それを指標として、マウスにおける、レスベラトロール経皮吸収効果を検討した。当初、経口に比べると、経皮では吸収効率が非常に悪いことが判明したが、4つの基剤、塗布部位の工夫などにより、最終的に充分レスベラトロールピークの同定できる経皮吸収法を見出した。さらに、レスベラトロールは皮膚において、直接グルクロン酸代謝を受けるという新規発見を見出した(村上他 論文投稿中)。現時点では、この論文を完了することを、最優先に考えているが、進捗としてはおおむね順調である。
上述の論文が完了した次のステップとしては、本計画のもう一つの主眼である人血液中の新規代謝マーカー発見があげられる。すでに60名近い若年者と高齢者の血液メタボロームの比較を行い、新規代謝や長寿マーカーの探索を行い解析中である。実験対象は、ボランティアの健康若年者(年齢平均20歳代)とADLの自立した健康高齢者(年齢平均80歳代)のエントリーによる。数百のメタボロームに関して、沖縄科学技術大学院大学(OIST)にてメタボローム解析を行い、結果、大きく3つのメタボライト(①個人差の少ないもの②個人差の大きいもの③高齢と若年で差が大きいもの)に分かれることが判明した。②個人差の大きいものは、生活習慣、食事、年齢、疾病などの関与の可能性が考えられた。今後さらに解析を進め、この点に関しても論文発表をめざす。
すべて 2014 2013 その他
すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (3件)
Journal of Cell Biology
巻: 204 ページ: 729-45
10.1083/jcb.201306149
Molecular carcinogenesis
巻: Sep 17 ページ: 1-15
10.1002/mc.22072
PLoS One.
巻: 8 ページ: e76247
10.1371/journal.pone.0076247
巻: 8 ページ: :e72173
10.1371/journal.pone.0072173.