研究実績の概要 |
最終年度である平成26年も研究計画に沿って、1)健常者の気分障害のリスクを評価できるマイクロRNAの同定、2)慢性疲労症候群(CFS)患者に特有の発現変化をきたすマイクロRNAの解析を行った。これまでの研究で明らかにした急性ストレス応答性マイクロRNA(miR-16, miR-144, miR-144*)及び慢性ストレス応答性マイクロRNA(miR-16, miR-20b, miR-26b, miR-29a, miR126, miR-144, miR-144*)をベースに、これらのマイクロRNAの有用性について再検証した。民間病院職員180名を対象に、高不安と高度の抑うつを訴えるハイリスクグループを対象に、気分障害と関連する末梢血マイクロRNAとしてmiR-144を同定した。さらに、miR-144の標的遺伝子のなかから不安・うつ状態と関連する遺伝子の同定に成功した(現在論文作成中)。慢性疲労症候群については、名古屋大学との共同研究のなかで、CFS群で特徴的な6種類の炎症関連マイクロRNAの発現変化と、CFS群において、タンパク質合成・分解系の遺伝子が顕著に亢進することを確認した。現在、CFS患者28名とコントロール28名を対象に、リアルタイムRT-PCRによる確認作業を行っており、平成27年度位に誌上発表する予定である。さらに、CFS群で発現が低下するマイクロRNAについては、プロモータ領域のメチル化の解析を継続して行っている。続けている。健常者の気分障害のハイリスクグループの選定、及び、病的疲労を診断するためのRNAバイオマーカーの同定はほぼ成功し、これらの病態を診断する技術基盤をある程度確立することが出来た。
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