研究課題/領域番号 |
25670354
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
田中 健二朗 高知大学, 教育研究部医療学系, 助教 (30552260)
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研究分担者 |
清水 孝洋 高知大学, 医歯学系, 准教授 (00363276)
中村 久美子 高知大学, 医歯学系, その他 (30398052)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ストレス / カンナビノイド |
研究概要 |
ヘモグロビン由来ペプチドであるヘモプレシンは近年、マリファナ(カンナビノイド類)の受容体であるカンナビノイドCB1受容体のリガンドとして機能することが報告されたが、その生体における役割は未解明である。我々はこれまで、ストレス反応経路のひとつである交感神経-副腎髄質(SA)系の興奮が脳内CB1受容体を介して抑制されることを明らかにしてきた。本研究では当該年度において、ヘモプレシンがストレス関連ペプチドであるボンベシンによるSA系の活性化を抑制する可能性を検討した。 ウレタン麻酔下のラット(♂, 300-350 g)にヘモプレシン(RVD-ヘモプレシン, 30 or 100 nmol)を脳室内投与し、30分後にボンベシン(1 nmol)を脳室内投与した。ヘモプレシン(30 nmolおよび100 nmol)はボンベシンによるSA系賦活反応である血中カテコラミン(アドレナリンおよびノルアドレナリン)濃度の上昇を有意に抑制した。またヘモプレシンによるボンベシン誘導性SA系賦活反応の抑制は、CB1受容体の逆作動薬であるリモナバント(90 nmolおよび180 nmol)の前処置(脳室内投与)により阻害された。さらに、SA系の制御中枢である視床下部室傍核の前交感神経性ニューロンにおいて、ヘモグロビンa鎖の発現を認めた。 以上の結果は、脳内CB1受容体を介したヘモプレシンの抗ストレス作用の可能性を初めて示すものである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究における当該年度の目的は、(1)ボンベシン脳室内投与による交感神経-副腎髄質(SA)系の賦活反応に対するヘモプレシン前処置の効果を明らかにすることと、(2)SA系制御中枢である視床下部室傍核における脊髄投射性ニューロンおよびその近傍の細胞におけるヘモプレシンの発現を解析することである。現在のところ、当初の仮説を支持する結果が得られていることから、本研究は予定通り進んでいると言える。
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今後の研究の推進方策 |
本研究はこれまでに、ヘモプレシンがストレス関連ペプチドであるボンベシンによる交感神経-副腎髄質系の活性化を抑制することを示してきた。今後は、交感神経-副腎髄質系の制御中枢である視床下部室傍核において、ボンベシン脳室内投与によるヘモプレシンの発現脳変化およびその近傍におけるカンナビノイドCB1受容体の発現について検討する。
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