研究課題
挑戦的萌芽研究
慢性偽性腸閉塞(Chronic intestinal pseudo-obstruction以下CIPO)は主に小腸の運動が低下することによる腸管内容物の輸送障害により器質的消化管の閉塞機転がないのにかかわらす消化管閉塞による症状と画像上の鏡面像を呈する原因不明の難治性疾患である。CIPOは手術は無効で腸管内減圧が有効である。CIPOの根幹となっている病態異常は腸管運動低下による内容物の輸送層障害による腸液の貯留と内圧亢進である。この異常病態の解除のために適切な腸管内減圧が重要である。今回の研究ではCIPO患者で複数回腸閉塞症状の急性増悪で入院しイレウス管挿入をした患者で同意を得られた患者6名を対象に胃瘻を作成しjejunal tube経由に細径減圧チューブを挿入し拡張腸管の減圧を試みた。効果に関しては前後の自覚症状の改善と画像所見の改善で比較検討した。また1年間の観察期間で長期的効果の持続性、チューブの設置場所の変更の必要性や有害事象などを検討した。減圧に関して今回の研究では通常の60cmの空腸チューブでは減圧が難しく、新たに業者に特注で120cmの空腸チューブを作成して挿入した。現在経過観察中であるが、腸閉塞症状や拡張腸管の程度の低減が得られている。本デバイスの治療効果の機序であるが、空腸チューブにより、もともと鋭角に屈曲していた患者腸管がチューブのステンティング効果により角度が鈍角になることで腸閉塞症状の改善、食事摂取の可能性の拡大、排液量の減少など当初予想していない副次的機序により効果がもたらされた可能性が示唆された。この証明のためにはPEG-J挿入前後の腸管走行の角度の解析、検討が重要となると考えられた。今後は、挿入前後での腸管の走行屈曲角度の検討に冠状断でのCT撮影を行うことで可能になると思われた。次年度さらに症例を増やして検討するとともに、挿入前後での解析を行いさらに長期の検討を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
新規治療器具の開発が完了し、実際の患者に少数例ながら使用して良好な治療効果が得られているため
今後器具のさらなる改良と、治療効果の長期的観察、治療症例数を増加することを目指す。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件)
Am J Gastroenterol
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10.1038/ajg.2013.57.
J Gastroenterology
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10.1007/s00535-013-0776-3