研究概要 |
① 絶食時の視床下部におけるαklothoの蛋白発現をウエスタンブロット法にて検討したところ、自由摂食群に比して絶食群においてαklotho蛋白の発現の有意な増加が認められた。そこで、視床下部のどのような核において、αklothoが絶食時に増加するのかを二重免疫組織染色法を用いて検討を行った。αklothoは弓状核において発現しており、その発現増加は弓状核においてのみ認められ、また、それらのαklotho 陽性細胞は、NPYやAgRP陽性の神経細胞であった。さらに、遺伝的レプチン欠損肥満マウス(ob/obマウス)の視床下部におけるαklothoの発現を検討したところ、野生型とob/obマウスの間でαklothoの発現に差は認められなかった。 ② 絶食時の視床下部におけるFGFR1, FGFR2, FGFR3, FGFR4の発現をウエスタンブロット法により検討したところ、いずれのサブタイプの受容体も絶食時の視床下部において発現が認められた。 ③ αklothoミュータントマウスのホモ接合型は、病的老化症状が強いため視床下部における機能解析は困難であるため、そのヘテロ接合型(αklothoヘテロミュータントマウス)を用いて自由摂食下と絶食24時間後、48時間後において解析を行った。体重や血糖値は、野生型とαklothoヘテロミュータントマウスの間で有意な差は認められなかった。また、視床下部における摂食関連分子(NPY, AgRP, POMC)の発現を免疫染色法により検討したところ、これらの摂食関連分子の視床下部における発現パターンに野生型とαklothoヘテロミュータントマウスの間で差は認められなかった。ところが、視床下部におけるSirt1の発現をウエスタンブロット法にて検討したところ、自由摂食下の視床下部において、野生型に比してαklothoヘテロミュータントマウスではSirt1の発現が有意に増加していた。絶食によりSirt1の発現は野生型では有意に増加したが、αklothoヘテロミュータントマウスではほとんど変化しなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
αklothoは、絶食時に視床下部のNPY/AgRPニューロンで増加するという結果を得た。また、FGFR1, FGFR2, FGFR3, FGFR4のいずれのサブタイプの受容体も絶食時の視床下部において発現が認められた。αklothoヘテロミュータントマウスを解析し、体重や血糖値、視床下部における摂食関連分子の発現パターンが野生型と差が認められないことが明らかとなった。しかし、自由摂食下において、αklothoヘテロミュータントマウスの視床下部におけるSirt1の発現が野生型と比較して増加しており、野生型でみられた絶食によるSirt1の視床下部での増加は、αklothoヘテロミュータントマウスでは認められなかった。以上の結果より、平成25年度の研究実施計画は順調に遂行されており、おおむね順調に進展しているといえる。
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