研究課題
挑戦的萌芽研究
全国の16施設において2011年1月~12月に「古典的不明熱(腋窩体温38.0℃以上の発熱を3週間以上の期間に2回以上認め、かつ、3回の外来受診または3日間の入院検査で原因不明)」と診断された18歳以上の患者を対象とし、対象患者のデータを共通の症例報告票に記載し、FAXを用いて集計した。計121例の不明熱患者が登録され、患者年齢の中央値は59歳(19-94歳)であった。原因疾患は、感染症28名(23.1%)、非感染性炎症性疾患37名(30.6%)、悪性腫瘍13名(10.7%)、その他15名(12.4%)、原因不明28名(23.1%)の結果となった。「その他」には薬剤熱などが含まれた。発熱から各施設を受診するまでの日数の中央値は28日であり、診断までに最も日数を要したのは家族性地中海熱の症例であった。血液培養の施行率は86.8%、血中プロカルシトニン値測定の実施率は43.8%、Positron Emission Tomography (PET)の施行率は29.8%であった。CT検査の普及により、深部膿瘍や固型癌が不明熱の原因となることが著しく減少している。高齢化の影響もあり、リウマチ性多発筋痛症が9例で最多であった。原因不明は約2割であり比較的少なかったが、後ろ向き研究のためのバイアスかもしれない。4名がHIV/AIDSによる不明熱を呈しており、日本でも不明熱の原因として重要になっている。本研究により不明熱の鑑別において重視すべき疾患が明らかになった。
2: おおむね順調に進展している
基礎となる不明熱患者の後ろ向き多施設共同臨床試験の解析は終了し、英文学術誌に掲載された。また、検査の有用性の分析として「炎症マーカーと不明熱の関係」の論文を作成中である。これらのデータをもとに、現在前向き研究における収集データの選択を行っている。
上記研究の結果を基に、登録すべきデータの最終確認を行い、2014年7月より多施設前向きデータ収集を開始する予定である。
2013年度は主にインターンネットを用いる打ち合わせが行われた。2014年度に海外学会での発表を予定している。また、2014年7月のデータ収集開始前に、研究分担者とのミーティングを行う。データ解析に伴う人件費や、文書校正費が2014年度に使用される予定である。
すべて 2013
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)
BMJ Open
巻: 3(12) ページ: e003971
10.1136/bmjopen-2013-003971