研究課題
申請者は平成25年度挑戦的萌芽研究「不明熱症例に対する全国の多施設共同による症例登録研究」において、日本病院総合診療医学会に所属する17施設の121例の古典的不明熱の症例を検討した。CT検査の普及により、深部膿瘍や固型癌が不明熱の原因となることは著しく減少していた。高齢化の影響もあり、リウマチ性多発筋痛症が9名で最多であった。4名がHIV/AIDSによる不明熱を呈しており、日本でも不明熱の原因として重要視されている。43.8%の症例で血清プロカルシトニン値が測定され、29.8%でPET検査が施行されていた。この結果から、細菌感染症や悪性腫瘍を重視した従来の不明熱診療から、高齢者に多い膠原病や新興のウイルス感染症に重点をシフトさせる必要性が示唆された。また、診療ガイドラインが存在しない状況下で、プロカルシトニンやPETなどの新しい検査が多用されている状況が明らかになった。申請者はこの結果を米国Society of General Internal Medicine 2013 (SGIM, Denver, USA)で国際学会発表を行うとともに、論文発表を行った(Naito T et al. BMJ Open 2013)。また、申請者はこの研究により、平成26年・日本病院総合診療医学会学会賞を受賞するに至った。 古典的不明熱の診断に炎症マーカーが有用か否かについては依然として結論が出ていない。これに対して申請者は、血清プロカルシトニン値などの炎症マーカーと不明熱の原因について検討した論文をInternal Medicine誌に投稿し(Naito T et al. Intern Med 2014 )、現在修正中である。この中で、白血球数が多いと「悪性腫瘍」の率が多く、少ないと「原因不明」の率が高いなどの関連を明らかにしたほか、古典的不明熱の原因診断においての赤沈検査の重要性を明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)
Internal Medicine
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
巻: 53 ページ: 2471-2475