研究課題/領域番号 |
25670367
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10175127)
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研究分担者 |
中村 哲也 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (70265809)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ヒト化マウス / 大腸移植 / 移植モデル / 発癌モデル |
研究概要 |
本研究は炎症性腸疾患・大腸癌に対し、病態の解明とこれに基づく治療法の飛躍的な発展を達成するには、ヒト疾患を忠実に模倣し、且つ治療効果を鋭敏に反映・予測し得る動物モデルの確立が必須であり、切望されている。本研究は、研究代表者らが世界で唯一保有する技術である「腸上皮初代培養細胞の生体移植法」を、全大腸上皮をヒト由来細胞で置換した「ヒト化腸上皮マウス」作成法へと展開し、これを利用した世界初のヒト化大腸炎・発癌モデルマウスの樹立へと発展させる事を目的とする。具体的には、(1)移植ドナー腸上皮によるレシピエントマウス腸上皮置換法の確立、(2)内視鏡生検組織を用いたヒト腸上皮オルガノイド・ライブラリの構築、(3)ヒト化腸上皮マウス誘導作成法の開発の3項目について遂行する。本研究の遂行により、「ヒト化マウス」を用いた消化管疾患研究・治療法開発という全く新しい分野を開拓するのみならず、ヒト特有の分子構造・抗原に対する分子標的薬の生体内疾患標的に対する機能・効果の迅速且つ正確な評価、並びに生体レベルでの大規模・高効率な疾患治療標的分子スクリーニングを実現する画期的な薬剤開発ツールへと発展することが期待される。本年度は研究計画に則り、高効率移植モデルマウスの条件検討を行い、従来よりも効率の良い移植条件を見いだした。また内視鏡生検検体から、ヒト腸管上皮オルガノイドの培養を行いライブラリーの収集を開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)移植ドナー腸上皮によるレシピエントマウス腸上皮置換法の確立(レシピエントマウスへのドナー腸上皮生着法の最適化)に関しては、薬剤処理にて広範囲の大腸粘膜を上皮細胞のみ剥離する条件を発見し、上皮移植にてこれまでよりも高効率、広範囲の移植モデルの構築に成功した。 (2)内視鏡生検組織を用いたヒト腸上皮オルガノイド・ライブラリの構築(大腸内視鏡生検検体からのヒト腸上皮オルガノイド作成・保存法の確立)に関しては、本学倫理審査承認のもと、内視鏡生検検体から腸上皮オルガノイドの作成・保存を開始している。 以上より概ね順調に計画を遂行できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
ヒト化腸上皮マウスによる大腸炎モデルの確立に関しては、ヒト腸上皮オルガノイド・ライブラリに保存された炎症性腸疾患患者由来腸上皮オルガノイドを用い、「ヒト化腸上皮マウス」を作成する。一定期間の飼育の後、ドナー細胞の定着率と腸炎発症の有無につき組織学的に解析を加える。同マウスに対し、ドナー患者由来PBMCを種々の細胞数で腹腔内投与し、体重変化・血便の発症等を指標に経時的に追跡する。一定期間の飼育の後、ドナー細胞の定着率と腸炎発症の有無につき組織学的に解析を加える。 ヒト化腸上皮マウスによる大腸発癌モデルの確立に関してはヒト腸上皮オルガノイド・ライブラリに保存された大腸dysplasia・大腸腺腫・大腸癌由来オルガノイドを前記によりレシピエントマウスに生着させ、生着した上皮の発育・進展の有無を経時的に追跡する。大腸dysplasia・大腸腺腫については発癌誘発物質・変異原投与により癌の発症・進展が促進されるか否かについても検討を加える。
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次年度の研究費の使用計画 |
試薬等が計画当初より廉価で購入可能であったため。 検討する数・種類を拡大して解析を行うため、試薬を増量して購入する予定である。
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